好きなものを我慢する習慣で意志力が24.8%アップ!?

意思力

好きなものを我慢する習慣で意志力が24.8%アップ!?

生活の中でちょっと我慢する習慣を実践すると意志力がアップするかもしれません。

 

具体的には以下のようなものが挙げられます。

  • 好きな食べ物やお菓子を少しだけ我慢する
  • 背中が曲がっていることに気づいたら姿勢を正すようにする
  • 利き手ではない方の手を意識的に使ってみる
  • お腹が減っている時に食べる時間を少しだけ遅らせる

 

日頃からこのような我慢の習慣を実践することによって意志力全般がパワーアップします。パワーアップした意志力は、仕事や勉強で粘り強く取り組む際にも活用することができます

そんなことで意志力がアップするのかと思うかもしれません。しかし、実際に2017年の中南大学などの研究では、お酒好きだがお酒に弱い人は日頃から意志力が鍛えられていることが示されています。

 

根拠となる研究
An experimental analysis of acquired impulse control among adult humans intolerant to alcohol - PubMed
The ability to control tempting impulses impacts health, education, and general socioeconomic outcomes among people at all ages. Consequently, whether and how i...
  • 被験者:477名(スクリーニング後)
  • 内容:お酒好きだがアルコールの耐性がない人に対して、意志力が必要なゲームを行って、どういった決断をするかを調べた。
測定
意志力:金銭的なゲームによって計測。ゲームの中でズルをすると持ち金が増やせる誘惑にどれだけ耐えることができるかを調べた。

→被験者はまず六面ダイスを渡され、転がして出た数字に対応した報酬がもらえると言われます。しかし、サイコロの目の結果は被験者だけが知れるようになっており、ズルしたい誘惑に駆られる状況をあえて作ったのです。

お酒を飲みたくなる環境:質問票によって普段からどの程度お酒の誘惑にさらされているかを調べた。

●質問例:
「どれぐらいの頻度であなたの周りにはお酒を飲んでいる人がいますか。(How often are you around people drinking alcohol (regardless whether you chose to drink?)」

●回答例:
「毎日」「1週間に一回」「一ヶ月に一回」「1か月に1回未満」「まったくない」

→1ヶ月に一回かそれ以上は「標準」として扱われました。

我慢度:自己申告式の質問票によってお酒の誘惑を我慢しようとしている度合いを調べた。

●質問例:外出したときや、1杯目のアルコールを飲んだ後について…
●解答例:「アルコールを飲むペースについてはほとんど考えていない」「アルコールを飲むペースを遅くするために意志力を使う」「よりお酒を飲みたくなり、飲むスピードが速くなる」

アルコール耐性:エタノールパッチテストでアルコールに耐性があるかどうかが調べられた

 

介入

477名の被験者のうちアルコールパッチテストによって以下の二つのグループに分けられた。

  1. アルコールの耐性がないグループ(152名)
  2. アルコールの耐性があるグループ(325名)

その後、ゲーム上でズルをするかどうかによって意志力を計測。

 

結果

①お酒を飲みたくなる環境において我慢度が高い割合は男性の方が女性よりも多かった

  • アルコール耐性のある人においては、68.3%の男性と、70.5%の女性が我慢度が高かった。
  • 耐性のない人においては、81.1%の男性と73.7%の女性が我慢度が高かった。
  • つまり、男性においてのみアルコール耐性がない場合、耐性がある場合と比べて有意にお酒に対して自制心を使っていた。
つまり、同じアルコールに耐性がない人でも、女性の場合は日頃からお酒を我慢する機会が多くなかったのです。男性のみが日頃からお酒を我慢しているということが分かりました。理由としては、文化的な背景などが挙げられるでしょう。
 
②アルコール耐性のある男性と比べて、耐性のない男性はズルをする傾向が低かった
  • 耐性のあるグループでは、79.6%の男性と60.7%の女性がサイコロの目を偽って報告しており、高い報酬を得ようとしていた。男性の方が女性よりもズルを働こうとする傾向が有意に高かった。
  • 耐性のないグループでは、66.7%の男性と、64.4%の女性が高い報酬を得ようとしていた。
  • 男性だけで比べてみると、耐性のない男性が高い報酬を得ようとする傾向は有意に低い(79.6%→66.7%)と判断できた。

 

日常的にお酒を我慢しているアルコール耐性のない男性は特にズルをする確率が低かった

  • 高い報酬を得ようとする確率は、日常的にお酒を飲みたくなる環境にさらされていて耐性のない男性は61.8%だった。これは、お酒を飲みたくなる環境にまれにしかさらされていない耐性のある男性と比べて24.8%低かった。また、お酒を飲みたくなる環境にまれにしかさらされていない耐性のない男性と比べて、14%低かった
考察

つまり、お酒を飲みたいけどお酒に弱い人の方が意志力が高く、誘惑に負けづらいということです。理由としては、日常的に小さな我慢を重ねているからだと考えられます。というのも、生まれつきお酒に弱い人は、お酒を飲みたくなる場面に直面しても我慢するしかありません。

注目すべきは、お酒を我慢するというシチュエーションで意志力を積み重ねておけば意思力全般が上がるということです。実際に、研究ではゲームでズルをして報酬を増やしたい誘惑に耐えるという全く別のシチュエーションでも意志力を発揮することができました。

 

 

さて、ここからは実践編です。日常的に我慢を取り入れることによって意志力を鍛えていきましょう。研究ではお酒を我慢している人でしたが、お酒に限らず自分が好きなことを少し我慢することで意志力アップの効果が期待できます。

 

【今日のクエスト】自分が好きなものを少しだけ我慢する習慣をつけよう

ステップ1:自分が好きなことやついやってしまう事をピックアップする

例:
  • 仕事帰りにお菓子を買ってしまう
  • ご飯を食べ過ぎてしまう
  • ネットサーフィンをしてしまう
  • 1日にお酒を2杯以上飲んでしまう
 

ステップ2:ついやってしまう習慣の前に一つハードルを設ける

ステップ1で挙げたことの誘惑に駆られたときには、「面倒くさい習慣をやってからにする」という習慣を作ってみましょう。

実践例:
「お腹が減って早くご飯を食べたい!」と思ったときには…

ご飯を食べる前に英単語を5つ覚える

スマホを開いて何となくネットサーフィンをし始めそうになったときには…

ニュースアプリで時事系の記事を1つ読んでからにする

仕事帰りにコンビニでチョコのお菓子を買いたいなと思ったときには…

市販のお菓子ではなく自家製のエナジーバーを食べる

1日にお酒を2杯以上飲んでしまう場合は…

お酒は食事のときに1杯だけ飲むようにする

 

ステップ3:難易度を調節しながら習慣を定着させよう

注意する点としては、難易度の設定を間違えないことです。例えば、「お酒を一ヶ月禁止する」といったハードルが高い目標を設定してしまうと挫折しかねません。日常的に取り入れていくことが目的なので毎日できる我慢を選びましょう。具体的には成功率が8割から9割ぐらいの目標がいいです。

例:仕事が終わって帰るときにコンビニに寄ってお菓子を買って食べるのを我慢する

→我慢してみて、10日間のうち8日から9日は我慢できるぐらいだったら適切な難易度
→5日しか我慢できなかったのなら難易度が高すぎる→「お菓子を我慢」ではなく、「お菓子の代わりにフルーツを食べる」など難易度を調整して再チャレンジ

 

【獲得経験値】

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90分断食というプチ断食を紹介しています。いつもより朝食と夕食の時間を90分ずつずらして、より長い空腹感に耐える方法です。「お腹が減っているときにも90分だけ我慢する」という習慣を実践することで、意志力をパワーアップさせる効果も見込めるでしょう。

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