- ベストな難易度で勉強をゲームのようにサクサクと進めることができる
- クソゲー化している学習方法を見直し、デジタルアプリを駆使して単語学習を「神ゲー」にできる
- もともとの集中力に頼らず注意力を維持することができるようになる
単語学習は「何とか思い出せそう」ぐらいの難易度に設定しよう
2016年のコロンビア大学の研究によると、「ベストな難易度」ぐらいのベストな難易度に調整することによって集中力レベルが上がることが示されています。

- 被験者:平均年齢20歳の大学生22人(スクリーニング後)
- 内容:スペイン語の単語を学習してもらうとき、「何とか解けそう」ぐらいのベストな難易度の場合に集中力がどの程度発揮されるかを調べた。
測定
研究の指標として以下の項目が活用されました。
- 集中力のレベル:単語を学習している間のマインドワンダリングの程度。つまり、「学習とは違う他のことを考えていないか」を定期的にチェックした。
- 学習難易度:すでに持っている語彙をもとに、どれぐらい推測が可能な単語か
介入
被験者にスペイン語を覚えてもらう。なおスペイン語を覚えてもらう時には英語とセットになっていた。

つまり、スペイン語を学習するときに自分が知っている英語と結びつけて覚える状態でした。日本人が日本語と英語がセットになっている単語帳で英単語を覚えるのと同じ感覚です。
具体的には、以下の手順で研究が進んでいきました。
- プレテストでそれぞれの単語の「学習難易度」を判断
- 実際にスペイン語の単語を覚えるための学習を行った。なお単語を学習する時には、「簡単・ベストな難易度・難しい」の3つのブロックに大別されていた。
- 同時に学習に取り組んでいる時の集中力のレベルを調べられた。
プレテストでそれぞれの単語の「学習難易度」を判断
同じ被験者にプレテストとして、155語のスペイン語を英訳してもらった。英訳した後に、正解か不正解かが示され学習の難易度を評価してもらった。

なお、プレテストでは元々用意されていた155のスペイン語を使った。それらのスペイン語には「同根語・普通の難易度・難しい」の3種類が含まれていました。
そして、プレテストによって判明した「それぞれの単語の正答率」と「評価してもらった学習難易度」をもとに、すべての単語で難易度を三つのブロックに分けた。
- 簡単:プレテストで正解もしくは正解に近かった
- ベストな難易度:プレテストで不正解であったが推測できそう
- 難しい:プレテストで不正解であり推測するのも難しそう

同根語に関しては、英語と語源が同じなのでスペイン語の知識が無い被験者でもある程度の推測ができるようになっていました。例えば、「taxi」はスペイン語でも英語でも同じなので学習難易度が低いと判断します。
つまり、ここでの単語の難易度は英語の語彙をもとに、どれぐらい推測が可能かに基づいて難易度が評価されました。例えば、より推測が難しいスペイン語に関しては学習難易度が高いと評価されました。
学習+集中力のレベルの評価
実際に、英語を見ながらスペイン語の単語を覚える学習を行った。なお、単語はひとつずつ特定の時間の間隔で表示された。
学習に取り組んでいる間の集中力の度合いは、単語学習をしているときに、集中しているかぼーっとしているかを報告させて評価した。単語が一つずつ表示される中に、定期的に単語ではなく「集中できているか(ONTASK)」「ぼーっとしているか(MINDWANDERING)」を解答する項目が表示され、被験者がそれに解答するという形式がとられた。
結果
- ベストな難易度で学習した場合、最もマインドワンダリングの傾向が軽減された
- ベストな難易度のときと比べて、「難しい」の単語を学習しているときには特に集中力のレベルが低下していた。(「ベストな難易度」の単語を学習しているときと比べて、「難しい」の単語を学習しているときにはマインドワンダリングの傾向が優位に増加した。効果量はⅾ=0.57)
- ベストな難易度の時と簡単な単語を学習している時の集中力のレベルはほぼ同じであった(「ベストな難易度」の単語を学習しているときと比べて、簡単な単語を学習している時にはマインドフルワンダリングの傾向がやや増加していたものの統計的有意な差ではなかった。効果量はⅾ=0.15)
考察
つまり、学習の難易度は「何とかできそう」ぐらいのベストな難易度に設定するべきということです。
課題が難しすぎる場合、集中力は発揮することができません。実際、面白いゲームはステージをクリアするごとに難易度が上がっていきプレイヤーの上達に合わせてベストな難易度になるように設計されています。逆に、序盤にラスボス級の難しい敵が出てきたらクソゲーになってしまうでしょう。
研究チームの考察によると、「学生の集中力が続かないのは能力不足が原因ではない。難易度の設定を間違えただけだ」とコメントしています。学生の集中力に合わせて難易度を設計する考え方は教育者にとっても重要だということです。
【実践】ヒントを使って学習の難易度を調節しよう
今回は、AnkiDroidで覚えたいことを学習しているときの難易度調節について解説します。AnkiDroidとは、デジタルの単語帳アプリです。カードに表と裏があり、表にクイズを作り裏に覚えたい内容を入力しておくことで、表のクイズの内容を見ながら覚えたい内容を思い出す訓練ができます。
しかし、AnkiDroidを使っているとだんだんカードの枚数が増えていき復習するのが苦痛になってくるという人もいます。復習が苦しくなっているのは、思い出すヒントが少なすぎて難易度が上がりすぎているのが原因かもしれません。
予備知識
↑AnkiDroidの基本的な使い方に関しては、こちらの超実践記事を読んでください。また実際にAnkiDroidをインストールしてみて英単語や専門用語の学習に利用してみましょう。だいたいの作り方に慣れている方が、本記事もスムーズに理解することができます。
ステップ1:AnkiDroidで表示されるクイズにヒントをいれよう
AnkiDroidで学習するとき、分からなかったカードや間違えてしまったカードは、「もう一度」(赤いボタン)を押すと思います。ですので、以下のようなルーティンを設けておきましょう。
↓
「もう一度」を押す前にカードの編集を行い、クイズにヒントを追加する
分からないときには無理をせずヒントを増やして、難易度を下げることが重要です。なぜなら、一度間違えてしまったカードは覚えるきっかけとなる情報が足りていないということだからです。ヒントを追加せずに再度学習して思い出すことができなかったら、同じカードに対して「もう一度」ばかりを押してしまうことになります。いつも引っかかるカードに対しては嫌悪感を覚え学習自体が楽しくなくなってしまうでしょう。
具体的には以下の流れで復習を進めていきましょう。
- 覚えたい用語に関してのカードを作成
- カードの復習を実践する
- 解答を確認して間違えていたら編集画面を開き、クイズにヒントを追加する
- 後日復習したときにはヒントが書かれたカードを復習できる
例として、筆者がIT用語を覚えるためにAnkiDroidでカードを学習していた時のケースを紹介してみます。

↑覚えたい用語に関してのカードを作成した例。カードにはクイズと解答をセットで作ります。画像では「オウンドメディア」に関するカードを作成しました。

↑最初に作成したカードでは難しいときに、クイズにヒントを追加してみた例。画像では「オウンドメディアとは」というクイズに解答する上で、思い出しやすくなるヒントを一段開けて作ってみました。
「オウンドメディア」に関するカードを作成
↓
「オウンドメディアとは」というクイズが表示されるので、頭の中で解答を作ったら「解答を表示」をタップしての内容を確認する
↓
頭の中で考えた解答が間違えていたので、編集画面を開いて「オウンドというのは英語でどういう意味か」というヒントを追加
↓
後日の復習で、ヒントを確認しながら再度クイズの解答にチャレンジした
ちなみにカードの編集はオプションから行うこともできますが、ジェスチャー機能を使うことによって簡単に行うことができます。詳しくは予備知識として紹介したAnkiDroidに関する超実践記事で確認してください。
他にもいくつか筆者が作ったカードを紹介してみます。

↑「LP」に関するカード。「例えばどんなことを書く」というヒントを追加することで、LPは何らかのページであることを思い出すきっかけにしています。

↑「CRM」に関するカード。特にヒントが思い浮かばなかった場合はこのようなざっくりしたヒントでも構いません。CRMのCは「カスタマー」であることをヒントにしてみました。
ステップ2:ヒントを入れたカードを後日復習してみよう
前述の例では、「オウンドメディアとは」というクイズに対して、内容が思い出せなかったので、思い出すきっかけになるようなヒントを追加してみました。後日復習するときにはヒントが書かれたカードを復習できるので難易度が下がります。
なお、後日復習するタイミングでまた分からなかった場合、最初に追加したヒントの下にまた別のヒントを追加するといでしょう。
AnkiDroidでヒントを追加していくことによって、「そのカードを何回間違えたか」を把握することができます。なぜなら、クイズに間違えるたびにヒントが追加されているからです。間違えた回数は難易度を調節する目安にしましょう。例えば、あまりにも多く引っかかっているカードに関しては、カードの解答の内容を理解し直したり、より分かりやすい説明を入れたりなどするといいでしょう。
ステップ3:簡単すぎるカードの難易度を調節しよう
ヒント書くときには一番上のクイズよりも少し行を開けておくのがおすすめです。なぜなら、カードが表示されたときに一行目のクイズだけを見て思い出せるように訓練するためです。一行目のクイズでやはり思い出せないときにはヒントに目を向けるようにしてみましょう。
仮に、ヒントに目を向けなくても内容を思い出す事ができた場合、カードを編集してヒントを消していくと使い方もできます。すでに覚えてきているカードでヒントがあると、逆に簡単すぎてモチベーションが下がってしまうこともあるからです。
【獲得経験値】

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