独学でモチベーションが保てない
自分のやり方は非効率ではないか?と不安になる
プログラミング、建築など難しい分野で理解が進まない
今回は独学のコツについて解説します。
勉強に行き詰まったときの処方箋「メルボルン大学のチェックリスト」
独学で行き詰まったときには何が原因で躓いているかを理解することが大事です。
独学が進まない原因を知るには以下のチェックリストを使ってみましょう。
読書・勉強が進まない10の原因
- 十分な時間とモチベーションが足りない
- 集中力の維持ができない
- 読むスピードがなかなか早くならない
- ボキャブラリー不足
- 本のどの部分に集中するべきか選べない
- 新しい理論や細かい情報を理解することができない
- メインのポイントと議論のポイントがつかめない
- エビデンスの価値が測れない
- 本の内容を理解するための背景知識や経験がない
- 馴染みのない分野である
このリストは、もともとメルボルン大学の研究チームが過去の読書術に関する論文を調査し、学生に向けてテキストの理解力を高める方法として発表しているものです。
読書に限らずプログラミング学習や、イラストの上達、簿記の取得…などあらゆる分野に応用が可能です。
具体的に1つずつ分析していきましょう。
十分な時間とモチベーションが足りない
手軽な勉強スタイルでスキマ時間をフル活用
独学するのに十分な時間がないという場合にはスキマ時間をうまく利用するしかありません。
と言うのは簡単ですが、仕事で疲れているときにテキストを開いて勉強するのは大変ですよね。そこでデジタルのアプリをうまく使って学習しましょう。スマホアプリのノートに勉強することをまとめておけばいつでも取り出して復習することができます。
ちなみにデジタルのノート術に関しては「Mindly」や「Ankidroid」というアプリを使った方法を解説しているので良かったら参考にしてみてください。↓
自分が実現させたいアイデアは何か?
次に「独学を進める上でのモチベーションが続かない」の対策法です。
独学するときには、何となく勉強するのではなく具体的な目的を持って勉強するようにしてみましょう。
例えば、プログラミングを学習している方なら単に「プログラミングを学べば仕事に困らなそうだから」「食いっぱぐれないって聞いたから」というモチベーションでは弱いです。代わりに「プログラミングを学んでこういうスマホアプリを作りたい」という具体的な目標があれば意外と努力が続きます。
実は「お金のため・仕事のため」という動機によりも、「自分のアイデアを実現させたい!」という動機の方が燃え尽きにくいのです。
ちなみにですが、僕は心理系の分野以外にも恐竜や動物について勉強中です。動物たちについて学ぶのは別に「動物園で働きたいから」とかいうわけではなく、「動物をコンセプトにした本格カードゲームを作りたいから」という少々特殊な動機です。
みなさんも、独学するときには「その知識を身につけてどんなアイデアを実現させたいのか?」と考えてみるとモチベーションが続きやすくなりますよ。
また、目標は心の中で思っておくだけではなく紙に書いておくと忘れずに努力できます。
オススメはルーズリーフや手頃なインデックスカードなどに目標を書き、それをテキストに挟んでおくことです。こうすればテキストを開く度にモチベーションに火をつけることができます。
集中力の維持ができない
集中が続かないときにはタイマーを使って集中と休息とのメリハリをつけてみましょう。
例えば、30分集中→5分休憩というインターバルを繰り返してみるみたいな感じ。
そして勉強した成果はできる範囲で数値化してみましょう。
例えば、
- 30分でテキスト3ページ分進んだ
- ノート2ページ分まとめた
- ノートアプリに200文字書いた
といった感じ。
ノートにスコアとして記録しておけば、「さっきの30分より集中できているな」と一目瞭然です。「さっきよりも多く進めるぞ!」というモチベーションにもなり集中力を発揮しやすくなるでしょう。
読むスピードがなかなか早くならない
「テキストを読むのが早くないから学習が進まない」と感じている方は多いようですが、この悩みを抱えている方は2つの勘違いを犯しています。
- 「未知の分野の本でも速読できる」という勘違い
- 「膨大な量を高速でインプットするのが望ましい」という勘違い
本は速読できる?→新しいことを理解しようとすれば時間がかかる
まず1についてです。残念ながら未知の分野の本を速読できる人はいません。↓
2016年カリフォルニア大学の研究チームが145件の研究データから「速読は可能なのか」について調べた研究を分析。
その結果によると、読むスピードを上げても読んだ気になるだけで理解度はむしろ下がってしまうと指摘。
「深く理解しようと思えば時間がかかって当たり前」というのが科学的な結論のようです。
確かに「独学するなら効率よくやりたい」とか「早く結果が出したい!」という気持ちは分かるのですが、知識がゆっくり増えていくことを楽しむ心の余裕も大切です。速読の呪縛からは一刻も早く脱出しましょう。
高速でインプットしたい→アウトプットの方が大事
次に2の膨大な量を高速でインプットするのが望ましいという勘違いについてです。
確かに本をパラ~っと見ただけで「読めましたよ~」と言い切るのはカッコいいし気持ちがいいことでしょう。
しかし、実際には読むスピードを上げるよりも読んだものをきちんと記憶に残したり、復習を繰り返す方がよっぽど大切です。
なぜなら、いくら膨大な量をインプットしても復習が追いつかなければ忘れてしまうだけで意味がないからです。インプットとアウトプットのバランスは3:7ぐらいを意識してアウトプット重視の学習をしましょう。
ボキャブラリー不足
次に「ボキャブラリーが足りていないからき詰まる」というパターンです。
学習しようとする上で、その分野のボキャブラリーが足りているかどうかは大事です。
例えば、プログラミングを学習するときには「このクラスの中のメソッドが~~」みたいな感じで、専門的な用語がどんどん出てきます。
いくら理解力が高い人であっても文中に知らない単語が出てくれば絶対に分かりません。
ですから、分からない単語が出てきたときにはその都度調べたり、基本的な用語から解説している解説書に戻って学習してみましょう。
調べた単語はデジタルでメモしていつでも探せるように!
調べた単語はしばらくすると忘れてしまうと思うのでメモしておきましょう。
アナログで管理してもいいですが、忘れたときにサッと検索できるようにデジタルで管理するのをオススメします。
また、単語の意味としては分かっても使ってみないとイメージがつかみにくい単語も出てきます。
例えば、プログラミング用語の「オブジェクト」という用語を調べてみると、「オブジェクトとはプログラミングにおいてはデータと処理の集まりを意味している」と出てきます。プログラミング初心者にとっては「ん?」って感じですよね。
こういう用語は実践で使ってみないと分かりません。ですから「分かんねぇーよ」と投げやりにならず、「まぁオブジェクトっていうのはデータのことなんだな」と軽く理解しておきましょう。
実際にプログラミングコードのなかで出てきたときには、「なるほど。オブジェクトはこういう風に使うんだな」と腑に落ちる瞬間が来ます。
ですので、独学していて分からない用語が出てきたときには、
- とりあえずネットで調べる
- 調べた意味をデジタルで記録しておく
- 調べてもピンとこない単語は軽く理解しておく
ぐらいの対策を繰り返せばいいかと。
その都度分からない用語を調べているとなかなか学習が進みません。(笑)ですが、基礎用語が頭に入っていないといくらテキストを読もうとしても時間を無駄にしてしまいますから、ここは踏ん張りどころです。
本のどの部分に集中するべきか選べない・メインのポイントと議論のポイントがつかめない
「大事な部分がどこなのか分からないから挫折する」というパターンですね。
対処法としては、テキストをいきなり読むのではなく、まずは目次に目を通したり全体をパラッと呼んで自分に一番必要なところをハッキリさせましょう。
独学するときにはテキストを「最初から最後まできっちりやろう」と考える必要はありません。
なぜなら、自分が興味のあるところから学習したほうが効率がいいからです。なかには最初から理解しないと難しい本もありますが、どこから読んでもきちんと理解できるように書いてあるテキストも多いです。
例えば、僕がプログラミング学習で使っている「Android開発の教科書」という本では、
- …
- 第7章:画面遷移とIntentクラス
- 第8章:オプションメニューとコンテキストメニュー
- 第9章:フラグメント
- 第10章:データベースアクセス
- …
といった感じになっています。僕はもともと「Androidでノートアプリを作りたい!」という目標を掲げてこの本を読んでいたので、自分に必要そうなものは何となく決まっていました。ですので、
- 第7章は画面遷移についてだから必要だな。ノートアプリも画面遷移あるもんな
- フラグメントっていうのはどうやらタブレットでも画面を対応させる方法みたいだから今すぐには必要ないな
- データベースはノートアプリのデータを残すのに絶対必要だから必読だな!
みたいな感じで、自分が読むべきところを取捨選択していきました。
ですから、生真面目に第1章から読もうとせず興味の赴くままにじっくり楽しんでいきましょう。
新しい理論や細かい情報を理解することができない
「とにかく難しいことがよく分からん!」という挫折パターンですね。
例えば、プログラミングなどの複雑な概念や、物理学や建築系の数学的な概念は独学で理解するのが難しいように思えます。ネットで検索しようとしても細かいニュアンスが伝わらず検索結果に出なかったりするので独学では最大のハードルとなるでしょう。
対策としては、自分の思考を音声で録音するのがオススメです。理由は2つ。
- 声に出すことによって理解が深まる
- 後で聞き直すことで自分がどこで行き詰まっているのか客観的に分かる
ですから、テキストを黙々と読むのではなく、録音アプリなどを使って声に出しながら理解を進めていきましょう。
後から聞き直すときにはメモをとりながらだと、より頭が整理されますよん。
エビデンスの価値が測れない
「信頼性があるのかないのか分からないから何だか勉強する気も失せてきた」という挫折パターンですね。
確かに1つのことを勉強していてもまったく違う理論が展開されていることもよくあります。
例えば、「タンパク質やプロテインの過剰摂取は腎臓に悪いですよ!」と謳っている本もあれば、「タンパク質が腎臓に悪いのは嘘です」と言っている本もあるみたいな状況。
まったく別の情報に出会ったときの対策として、エビデンス(科学的根拠)の価値を測る方法をかる~く知っておきましょう。
基本的に科学的根拠の信頼性は研究手法の違いによってランクづけられます。
- メタアナリシス・システマティックレビュー
- ランダム化比較実験(RCT)
- 観察研究
- 専門家の意見
- 動物実験
メタアナリシスが一番科学的信頼性が高く、1人の専門家の意見や動物実験は信頼性が低めです。ですからテキストを読むときに「メタアナリシスによって…」とか「~~大学のランダム化比較試験によると…」といった文言が出てくれば「信頼しても大丈夫そうだ」ととりあえず解釈していいかと。
逆に「私の体験では…」とか「私の患者でも…」とか「動物実験でも…」といった言い方の場合は、「もしかしたら違うかもな」と注意しておくといいでしょう。
ちなみにですが、タンパク質やプロテインが体に悪いのか問題に関しては、大規模な観察研究の結果によって「タンパク質をとっても腎臓にダメージを与えることはない」という結果が出ているようです。
「タンパク質が腎臓に悪い説」はもともと動物実験の結果から言われたものみたいなので、一応エビデンスレベルとして高い「タンパク質大丈夫説」を信じてみようと思っています。↓信頼できる科学的根拠について。
本の内容を理解するための背景知識や経験がない・馴染みのない分野である
「ボキャブラリーが足りない」問題と近いですが、そもそもそのテキストを読むための基礎知識が足りていないことで独学に躓く場合もあります。
例えば、プログラミングの学習教材のなかには「HTML・CSS・Javascriptの基本的な知識がある方を対象にしています」と注意書きされた本もあります。こういった本は基礎知識がないといくら頑張っても読めません。
仮に頑張ったら読めるレベルだったとしても、あえて頑張らず簡単なテキストを買い直すという選択もアリだと思います。
というのも、頑張って読むより気張らずに楽しく勉強できる方がいいからです(笑)
ちなみに人間がテキストを読んでいるときにもっともモチベーションが上がりやすいのは全体の8割がスラスラ理解できるときみたいです。
【今日のクエスト】10のチェックリストと対策を実践してみよう
独学するときに挫折しやすいポイントとその対策をざっくりまとめてみます。
- 十分な時間とモチベーションが足りない→場所を問わない学習法でスキマ時間を活用
- 集中力の維持ができない→タイマーでメリハリをつける、成果をスコア化する
- 読むスピードがなかなか早くならない→そもそも早く読む必要はない
- ボキャブラリー不足→その都度調べてメモ
- 本のどの部分に集中するべきか選べない・メインのポイントがつかめない→自分が興味のあるところから
- 新しい理論や細かい情報を理解することができない→まずは7割理解でいい
- エビデンスの価値が測れない→エビデンスレベルを見比べる
- 本の内容を理解するための背景知識や経験がない・馴染みのない分野である→まずは基本知識から押さえる
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