【予備知識】
今回は記録のテクニックが出てきます。筆者がオススメする「UpNote」というアプリのテンプレートを使った記録のテクニックを先に知っておくといいでしょう。
↑腸内環境改善のための便の記録について解説。UpNoteをフル活用すれば毎日忘れずに記録をとれます。
ネガティブな「ロールプレイ」でセルフコントロールできる
「セルフコントロール」とは、誘惑にさらされたときに威力を発揮する能力のことです。抑えなくてはいけない感情や行動が起こってしまいそうなときに、誘惑に負けず望ましい選択をしていくことと言えます。
ネガティブな習慣をやめるためにはネガティブなロールプレイングが有効であると示されています。「ロールプレイング」とは、何かの役を演じてリアルに体験することを指します。
目の前の誘惑に打ち勝ちたい時には、「その誘惑に負けてしまったら、将来自分にどんなデメリットが生じるか?」とリアルにイメージしてみるといいです。
1965年のハーバード大学らの研究では、ネガティブなロールプレイングによって禁煙に成功しやすくなると示されています。
- 被験者:26人のヘビースモーカー
- 内容:肺癌の診断をされるロールプレイングを行い、禁煙の助けになるかどうかを調べた
介入
被験者を2つのグループに分けて比較。
- ロールプレイングでがんと診断されて禁煙する役を演じられたグループ
- 肺がんの宣告を受けるだけでロールプレイングは行わないグループ
ロールプレイングを行うグループ1では、よりリアルにがんの診断を体験するために大学内の1部屋を診療室風にセッティングし、様々な医療器具や白衣を着た医者を演じる助手なども用意していました。がんの宣告を受けるシーンを本格的に作りこんだわけですね。
そして、被験者は医者に扮した助手によってレントゲン写真と作り物のカルテを見せられ、「肺がんです」と告げられます。そして、どうすればタバコをやめられるかを医師と話し合う体験まで行いました。
結果
参加者全員がタバコを1日平均25本吸っていたところ、グループ2では5本減ったのに対し、ロールプレイを行ったグループ1では平均10本減っていた
考察
つまり、ネガティブな未来を想像させるロールプレイを行うことでよくない習慣を改めやすくなるということです。
もっと言うと、「自分がここで誘惑に負けたらどのような弊害が生じてしまうか」をリアルにイメージできることが大事なのです。
今の「行動」と将来の「成果」をリアルな感覚で結びつける
しかし、多くの人は良くないと分かっていても望ましくない行動をとってしまいます。なぜなら、今の行動と将来の成果が頭の中で結びついていないからです。
例えば以下のようなケースが挙げられます。
- 「タバコを吸い続ければ体に悪い」と分かっているけど、コンビニに行くとついつい買ってしまう
- 「栄養バランスの悪い食事を続ければ肥満になってしまう」と分かっているけど、ついつい食べ過ぎてしまう
- 「勉強をしないと宿題をしないと後から遊び時間が減ってしまう」と分かっているけど、遊びを優先してしまう
頭の中で行動と成果を結びつけるためには誘惑に負けて後悔した時の感情を鮮明に記憶しておくことが重要です。例えば、「夏休みの宿題をやっていなくて休み中に宿題が終わらなかったため、みんなの前で先生にこっぴどく怒られて恥ずかしい思いをした」という体験をしたとしましょう。その体験を鮮明に覚えていて、次の夏休みの最初に思い出すことができれば、今度は誘惑に負けづらくなるでしょう。
この場合、「みんなの前で先生に怒られて怖かったし、恥ずかしかった」という気持ちを刻み付けおくことが重要なのです。
【今日のクエスト】記録をつけて「成果」と「後悔」を刻み込もう!
リアルに自分の行動と成果のつながりをイメージするためには記録の力を借りるといいです。
ステップ1:自分が改めたい行動をピックアップしてみよう
例:
- 食の習慣を整えて腸内環境を改善したい
- 日々の習慣を変えて睡眠の質を改善したい
ステップ2:行動を改善することで得られる具体的な成果を決めよう
ステップ1で定めた行動を改善することによって「どのようなメリットが得られるか」もしくは改善しないことによってどのようなデメリットが生じるかを考えていきましょう。そのために、行動の成果を見える化するための計測可能な基準を設定するといいです。
例:
- 腸活をして腸内環境の改善→便通の良し悪しを記録する
- 睡眠の質の改善→翌日の朝起きた時の気分を1から10の10段階で評価する
ステップ3:感情を記録しておく
毎日の記録をする時にはその日の記録に感情の記録も残しておきましょう。特に自分が誘惑に負けてしまった時の感情をリアルに描写しておくのです。
例:
就寝時刻:1時。睡眠時間は5時間半。
翌日の気分:3点(10点中)
感情の記録:「昨日は大丈夫大丈夫と思って一時まで夜更かしをしてしまった。そのおかげで充分に睡眠時間を取れず仕事をしていても意識が朦朧とする。気分も最悪だ」
ステップ4: 行動と成果の記録をつけていこう
毎日記録を付けていくときには、誘惑に勝てた成功パターンと誘惑に負けてしまった失敗パターンを別々につけていくといいです。
記録が貯まっていけば、失敗パターンのときにどんなデメリットが生じているのか客観的に見つめることができます。
例:
失敗パターン:夜の11時よりも後に寝てしまった
成果の測定:翌日に睡眠日記をつけて翌日の気分が1から10のどの程度か記録をつける
成功パターンと失敗パターンで成果がどのように変わっているか分析する:夜11時にきちんと寝た時には翌日の気分は平均8点だが、11時に寝なかった場合には平均4点となっているな
他にも、筆者は腸内環境の改善をする時には便の記録を取るようにしていました。すると、お菓子を食べたたり、ドカ食いしてしまったときには便が黒くなり匂いも強くなるなどの変化が見て取れました。記録を続けることによって、「不規則な食事をすると腸内が荒れてしまう」とリアルにイメージすることができたのです。
ステップ5:感情の記録をもとにネガティブなロールプレイングを実践する
このような記録を付けていくことによって、誘惑と戦っている時にもネガティブなイメージを思い出して良い選択を取れるようになります。
ネガティブなロールプレイ:記録したことを思い出して「いや、夜更かしして睡眠時間が短くなったら明日の頭の回転が落ちるし、気分も最低になる。早いところ寝よう」と踏みとどまる
【獲得経験値】
関連
↑記録の習慣はそれ自体に意志力をアップさせる効果があることを解説。記録系は面倒くさいと思うかもしれませんが、だからこそセルフコントロール力をアップさせることができます。
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