- 自分のライフスタイルに合わせて筋トレの習慣を組み込むことができ、無駄な努力をせずに済む
- 安全に筋トレをするためにどんなウォーミングアップをすればいいのかが分かる
- 筋トレを習慣にするために、週の頻度・タンパク質を摂取するタイミング・休憩の時間…など信頼度が高い情報を知りたい
筋トレに効果的な時間帯は?
朝か夜かで大きくは変わらない!?時間帯よりも「習慣化」が重要
結論としては、朝か夜かに関係せず定期的に行っていくことが重要とにされています。
実際に、2009年のフィンランドのユヴァスキュラ大学の研究によると筋トレは習慣的にやるのが重要だと示されています。
- 内容:トレーニングの時間帯と筋肉量の増加の関係を調べた
- 測定:筋肉量をMRIで測定
介入:
被験者の男性は20週間にわたって毎日朝か夜にトレーニングを行った。なお、10週ごとにランダムな時間に筋肉量をMRIで測定。
結果:
- 朝のグループでも夜のグループでも、定期的に運動した場合は筋肉が3%増加していた
- しかし、不定期に運動した場合は筋肉の量は増えていなかった
考察
つまり、時間帯よりも定期的に筋トレを続けることが重要だと言えます。しかし、早朝はトレーニングを避けた方がいいです。なぜなら、午前6時などの早朝では体温が最も下がっているからです。体温が下がっていると関節や筋肉が動かし辛く、ケガをしやすいです。
まとめると、早朝以外だったらどの時間帯にやっても筋トレの効率はそこまで変わらないというのが結論になります。
それでもやはり、時間帯によって力の出しやすさや怪我のしやすさなどは変わってきます。それぞれの時間帯のメリットと注意点を押さえて、自分のライフスタイルに合ったルーティンを組み込んで行きましょう。
「朝はテストステロンが多いから筋トレ向き」は間違い!?筋肉は夕方~夜がベストコンディション
夕方はより負荷をかけたトレーニングをすることができます。というのも、より体が温まっており怪我をしづらいからです。実際に2010年の西スコットランド大学の研究では、筋トレは午後遅くにやるのがベストだと示されています。
理由としては、2つあります。深部体温が高いこととT/C比が高いことです。
まず、「深部体温」についてです。深部体温は夜に一番高くなります。体温が上がると心拍数が上がり筋肉の血流も良くなります。また、関節も柔軟になりグルコース代謝が進みます。簡単に言うと、関節や筋肉がよく動きエネルギーを出しやすくなるというわけです。よって、夕方から夜にかけてのトレーニングの方がより体に負荷をかけたトレーニングをすることができます。
次に「T/C比」についてです。T/C比とは、テストステロンとコルチゾールの比率のことです。T/C比も夜に高くなります。というのも、夜になるとテストステロンが朝よりも下がりますが、同時にコルチゾールの濃度もグッと落ちるからです。たまに「朝はテストステロンが多いから筋トレに向いている」という記述を見かけますが、実際は違います。なぜなら、大事なのはテストステロンだけの濃度ではなく、テストステロンに対するコルチゾールの比率だからです。
また、夕方~夜にかけては筋トレの習慣を組み込みやすいのもメリットの1つです。というのも、仕事終わりにジムに寄ったり、汗を流した後にすぐにシャワーを浴びたりしやすいからです。
お酒好きは朝筋トレすると効率がいい!?
基本的に筋トレの効率を上げたいならお酒は飲まない方がいいです。実際に、オーストラリアのRMIT大学の研究によると、筋トレ後にアルコールを飲むと筋肉の合成に悪影響を及ぼしてしまうと示されています。
しかし、お酒好きの人がいきなり禁酒するのは難しいでしょう。どうしてもアルコールを摂取したい場合、筋トレを朝のうちに行って夜お酒を飲むのがおすすめです。なぜなら、夕方に筋トレをしてお酒を飲むと筋肉の合成が邪魔されてしまうからです。
コーヒー+筋トレで下半身を鍛えたいなら昼!
カフェイン摂取+筋トレを実践するなら昼がベストです。というのも、カフェインと筋トレを組み合わせることによって効果が高まるからです。
実際に、ブラジルのマットグロッソ連邦大学の研究によると、カフェインを摂取してから下半身のトレーニングをすると、こなせる回数が多くなったという結果が示されています。
しかし、筋トレの効率を上げようと思えばカフェインを大量に摂取する必要があります。そこで睡眠への影響が少ない昼がベストなのです。具体的には、15時以降はカフェインを摂らない方がいいです。なので、身体が温まってきた昼間のうちにコーヒーを何カップか飲んで筋トレをするというルーティンを組み込んでみましょう。
まとめ
総合的に考えると、夕方に行うのがベストです。しかし、「夜にお酒を飲みたい」「カフェインと合わせて下半身を強化したい」「朝に実践してエンジンをかけたい」など、より具体的な目的があるのなら、他の時間帯にやってみてもいいでしょう。
筋トレの定説は間違いだらけ!?正しい知識を基に習慣化しよう
繰り返しになりますが、筋トレは継続して行うことが重要です。ですので、まずは筋トレの習慣を定着させるために自分がやりやすいルーティンを模索して行きましょう。
週に2~3回に縛られる必要はない!
筋肥大の決め手となるのは総負荷量です。総負荷量とはトレーニングでかかるすべての負荷のことです。
総負荷量に週あたりの頻度をかけ合わせると、週あたりの総負荷量を算出することもできます。
そして実は、総負荷量が同じであれば週の頻度は何回であっても筋肥大の効果は変わらないのです。
例えば、同じ重さを同じ回数持ち上げるトレーニングを4セットで週2回やる場合と、2セットで週4回やる場合は同じ筋肥大の効果が得られるというわけです。
・重さ×回数×4セット×週2回
・重さ×回数×2セット×週4回
→総負荷量は同じなので筋肥大の効果は同じ
実際に、2018年のオクラホマ州立大学の研究によると、週に3回でも週に6回でも同じ総負荷量であれば筋肥大の効果は変わらないと結論づけられています。
ちなみにアメリカスポーツ医学会では、2009年に公式声明として筋力を増強するためには週に2回から3回の頻度が推奨されています。しかし、公式声明とはいえど科学的根拠はありません。
特に、初心者のうちは負荷が少ない重さや回数で頻度を増やすのがおすすめです。なぜなら、重さや回数を増やして1回あたりの負担を大きくするとモチベーションが下がってしまうからです。また、日を開けると習慣化しづらいというデメリットもあります。
トレーニングの前はバナナやおにぎりで糖質を摂取
2007年のビクトリア大学の研究によると、トレーニングの前に糖質が含まれたサプリメントを摂取することでより大きなパワーを出すことができ、筋肥大の効果が高まったと示されています。
具体的には、トレーニングの15分から30分前に、50~75gの糖質を摂るといいでしょう。なお、研究では、サプリメントが使われていますがわざわざサプリメントを買う必要もないでしょう。バナナやおにぎりといった手軽に食べられる糖質を筋トレの前に食べるのがおすすめです。
特に朝の筋トレをするなら糖質を摂取してからにしましょう。というのも、朝は糖質が不足している状態だからです。糖質が不足している状態で筋トレをするとタンパク質をエネルギーに変えようとしてしまいます。タンパク質が消費されるということは筋肉を分解してしまうということです。
筋トレ前後のストレッチは必要ない!?
筋トレの前のストレッチはしないほうがいいと言われています。実際にブラジルのサンパウロ大学らの研究によると、ストレッチをすると運動回数と総負荷量が減少してしまうことが知られています。
ストレッチが筋トレを邪魔してしまうにはいくつかの理由があります。例えば、ストレッチが筋肉の粘りを低下させてしまうというものです。筋肉には粘りがあるため、ゴムのように伸び縮みする構造になっています。
しかし、ストレッチをすると粘りの性質が低下してしまい、筋トレを行うときに筋力が低下してしまうのです。イメージとしては、輪ゴムで何かを縛りたいときを思い浮かべてみましょう。縛る前に輪ゴムを手でビヨビヨと伸ばすと、輪ゴムが緩んで縛る力が弱くなってしまうのと似ています。
ただし、この研究ではストレッチが怪我を防止してくれるという考えが否定されたわけではありません。特に、朝の時間帯に筋トレを実践したい人は筋肉が固まっている状態で筋トレをするのが怖いと思います。
ストレッチをしたい場合、1つの筋肉に対するストレッチの時間を30秒以内にしてください。システマティックレビューによると、30秒以内のストレッチであれば運動の筋トレのパフォーマンスに影響しないと示されているからです。
まとめると、ストレッチについては以下のように考えるといいでしょう。
- 朝にやる場合は、30秒の軽いストレッチをしてからトレーニングに入る
- 体が温まってきた時間帯に、ストレッチはやらずにいきなりトレーニングから入る
10分の有酸素運動+「特異的ウォームアップ」がベスト
さらに慎重に体を温めてからトレーニングに入りたい場合、ウォームアップをするのがお勧めです。2015年のオーストラリアキャンベラ大学の研究によると、ウォームアップの一連の流れが示されています。
- ストレッチによって怪我を予防する(前述どおり30秒以内で)
- 有酸素運動によって筋肉の温度を上げる
- 特異的ウォームアップにより神経筋活動を活性化させる
有酸素運動は10分を目安に行いましょう。有酸素運動によって筋肉を温めることができます。筋肉の温度が上昇すると筋力がアップするので、より筋肉を追い込んで筋トレの効率を上げることができます。
具体的には、ジョギングやペダリングといった有酸素運動を最大心拍数の60%の負荷で行うのが有効です。最大心拍数の60%というと、体感的には「ちょっときついけど続けられる」ぐらいです。有酸素運動はあくまで筋肉を温めるためのウォームアップなので、正確な負荷である必要はありません。
・筋トレの前に家の周りを1周早歩きで歩く
・ジムに向かうときまでに早歩きで向かう
次に、「特異的ウォームアップ」とは、筋トレを行う前にそのトレーニングと同じ運動を軽い強度で行うことです。
例えば、スクワットやベンチプレスなどを軽い強度で行ってみます。特異的ウォームアップによって神経や筋活動を活性化させることができます。具体的には、1RMの50%で8回行った後、70%で3回行ったらウォームアップ完了とするといいでしょう。
筋トレ中のベストな休憩は1~2分
2017年のオーストラリアメルボルン大学のシステマティックレビューによると、性別やトレーニング経験、運動強度によって最適な休憩時間は異なると明らかにしています。
具体的には以下の要素で休憩の目安は変わってくることが示されました。
- 女性は休憩時間をやや短めに設定していい。男性よりも筋代謝の回復が早いため
- 高強度トレーニングの場合、休憩時間が長い(2分以上)ほうが総負荷量を増やすことができる
- 中程度から低強度のトレーニングの場合、短時間の休憩(1分から2分)でいい
つまり、トレーニング初心者の段階では、短時間の1分から2分の休憩を選ぶ方がいいと言えます。なぜなら、トレーニング初心者では低強度のトレーニングから始める傾向があるからです。
「ゴールデンタイムは筋トレ後1~2時間」はもう古い!?
よく「筋肉のためのゴールデンタイム」というのが言われます。ゴールデンタイムは筋トレ後1~2時間と言われることが多いです。ゴールデンタイムの研究は、2000年のアメリカテキサス大学医学部によるものです。
研究によると、1時間のトレーニングを行った後に必須アミノ酸を15g摂取したところ、筋タンパク質の合成量はトレーニング一時間から2時間が最も高くなり、一時間ごとに減っていったと示されています。
しかし、より新しい研究ではトレーニング後のゴールデンタイムはもっと長いことが示されているのです。実際に、マクマスター大学の研究によると、疲労困憊までトレーニングをすれば筋タンパク質合成の効率アップは24時間持続するという結果が示されています。
ですので、疲労困憊になるまで追い込むならトレーニング1~2時間後までに焦ってタンパク質を摂ろうとする必要はありません。
また、研究では24時間後にホエイプロテインを15g摂取させています。ですので、プロテインを飲む場合は1日の適当なタイミング15gから20g飲むのがいいでしょう。
【まとめ】習慣化しやすい夕方に、負担のないレベルで始めよう!
時間帯・頻度について
- 基本的には…→筋肉の調子がよくなる夕方~夜がおすすめ
- カフェインと組み合わせる場合→睡眠への影響が少ない昼がおすすめ
- お酒を飲みたい場合→筋トレ後にお酒を飲むより、飲んだ翌日の朝がおすすめ。ただし、糖質摂取とウォームアップを推奨
- とはいえ…時間帯で筋トレの成果自体はあまり変わらない→習慣化を最重視。まずは低い強度・少ない回数で週に6回がおすすめ
習慣化のためのトレーニングのルーティン
- 15分前にバナナやおにぎりで糖質摂取
- ストレッチはしないor30秒以内で最小限に。
- より慎重にやるならウォームアップを実践
- 10分の有酸素運動:ジョギングや早歩きを実践
- 特異的ウォームアップ:1RMの50%で8回+70%で3回
- トレーニング実践
- 休憩は1~2分で短めに。
- 24時間以内を目安にプロテインやタンパク質多めの食事を摂取
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