- 無駄な怒りの感情で自分の体にストレスをかけずに済む
- 怒りをコントロールして自分のメンタルや身体を守ることが出来る
わずか5分間の怒りでも5時間にわたって免疫力が低下!?
1995年のハートマス研究所の研究によると、怒りの感情は免疫機能を下げてしまうことが示されています。
- 被験者:17~50歳の男女30人(スクリーニング後)
- 内容:被験者に怒りを誘発する介入を行った後、唾液の中の免疫グロブリンAの量がどれだけ増減しているかを調べた
この研究では、免疫力の指標として唾液のなかの「免疫グロブリンA」の値が使われました。
免疫グロブリンAは抗体の一種です。体内で産生されている抗体のうち2番目に多く産生されています。特に、粘膜免疫の要として全身の粘膜に存在し、病原体やウイルスから身体を守っています。口の中の粘膜も唾液中に存在する免疫グロブリンAが守っています。
ですので、免疫グロブリンAの量が増えているときには免疫力が活性化していると判断できます。
介入
被験者に5分間の特定の感情体験を行ってもらう。その際、被験者をランダムに3つのグループに分けて比較。
- 怒りの感情を誘発されるグループ
- 思いやりの感情を誘発されるグループ
- 5分間、感情に影響しないレベルの音楽を聴くグループ(対照群)
怒りの感情を誘発されるグループでは、これまでの人生で怒りを感じた出来事について思い出してもらうことで被験者の怒りを誘いました。
一方、思いやりの感情を誘発されるグループでは、意識的に自我から注意を逸らしほかの誰かに対した思いやりの心を誘いました。
感情体験をする介入の前後に、唾液の採取を行った。加えて、唾液の採取は実験の介入の直後から1時間ごとに6時間後まで行った。
結果
感情体験をした直後の免疫グロブリンAの数値は以下のようになった。
- 怒りを誘発された場合と対照群において、介入直後では免疫グロブリンAの増加はみられなかった。(介入前の測定と比べてそれぞれ18%の上昇、12%の上昇が見られたが有意な上昇ではなかった)
- 一方、思いやりを誘発された場合、介入直後では介入前の測定と比べて免疫グロブリンAの値が41%向上していた。
感情体験から一時間後から6時間後の数値の変動は以下のようになった。
- 怒りを誘発された場合、5時間後まで免疫グロブリンAの減少が見られた(1時間後では介入前の測定と比べて49%減少、2時間後では54%減少)。
- 思いやりを誘発された場合、1時間後では有意な変化が見られなかったが、2時間後から6時間後において段階的に免疫グロブリンAの値が上昇していた(6時間後においては25%上昇)
考察
つまり、怒りの感情に飲み込まれるとその後5時間において免疫機能が低下してしまうと言えるでしょう。もっと言うと、怒りの感情が募れば募るほど心臓病や脳梗塞などを発症するリスクも上がってくると考えられます。怒りに振り回されると、精神的に疲れるだけではなく自らの体まで痛めつけてしまうということです。
一方で、思いやりの感情を抱いた場合は免疫力がアップすると言えそうです。
【実践】「怒ったら免疫力が低下してしまう」と思い出そう
実践例:
↓
「今怒ったら免疫力が低下して体が弱くなってしまう」という事実を思い出す。
このように決めておくだけでも、「怒っても自分の体調が悪くなるだけで無駄だな」と思い出すことができます。
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