今回は先延ばしを防ぎたい人に向けた内容です。
- レポートや資料の締切が1週間後なのに、「まだ時間ある」と思って手をつけない。
- やるべきことがあるのにスマホを開いてしまい、SNSやYouTubeを見ているうちに時間が消える。
- 「自分は意志が弱い」と感じている。
実は、運動することによって先延ばしを減らすことができるかもしれません。
先延ばしを減らすには運動が有効!?
2025年に西北大学などの研究者たちが発表した論文によると、有酸素運動によって実行機能が改善したそうです。そして、運動の効果は先延ばし傾向のある人に対して効果が大きかったようです。
「実行機能」は目標を計画・実行する機能で、先延ばしにも関わる
- 抑制能力:目標には直接関係のない行動をしそうになっても我慢すること。
- 切り替え能力:感情や行動を柔軟に切り替えること。
- 情報の更新能力:ワーキングメモリによって、必要な情報を頭の中にとどめ、不必要な情報を捨てる能力。
30分の有酸素運動で抑制の能力が向上!
研究によると、先延ばしをしてしまう人は抑制能力や切り替え能力に問題があるようです。
例えば、面倒くさいという気持ちが勝ったり、娯楽の誘惑に負けることによって先延ばししてしまいます。
内容
大学生190名(平均年齢19.6歳)を対象。以下の指標について回答・測定を実施した。
質問票によって、被験者を次の3タイプに分類した。
- 能動的先延ばしタイプ:より戦略的な先延ばし。
- 受動的先延ばしタイプ:不安や回避から生じる先延ばし。
- 先延ばししないタイプ
被験者をタイプごとに2つのグループに分けて比較。
- 運動プログラムに参加するグループ(介入群)
- 運動プログラムに参加しないグループ(対照群)
運動プログラムに参加する被験者は、週3回、最大心拍数の60~69%の強度で、1回あたり30分のランニングを8週間行ってもらった。そして、介入の前後で実行機能を測定した。
結果
運動前の結果として、先延ばしのタイプによって実行機能の特徴に違いがあった。
- 受動的先延ばしタイプは、すべての実行機能が先延ばしをしない大学生よりも低かった。
- 能動的先延ばしのタイプは、受動的先延ばしタイプと比べて、抑制機能の正確性とスコア、更新機能の正確性とスコアが高かった。
- 先延ばししないタイプも、受動的先延ばしタイプと比べて、抑制機能の正確性が高かった。
- 能動的先延ばしタイプは、すべての実行機能が先延ばしをしない大学生よりも高かった。
- 特に、能動的先延ばしのタイプは、先延ばししないタイプよりも更新機能の正確性が高かった。
運動介入後では以下の変化がみられた。
- 先延ばししないタイプは、抑制反応時間が短縮され、更新反応時間が短縮された。
- 能動的先延ばしタイプは更新機能の反応時間が短縮された。
- 受動的先延ばしタイプは、切り替え機能の正確性が高まった。また、抑制機能の正確性が高まった。
考察
研究のポイントを簡単にまとめると以下のようになります。
- もともとの実行機能の高さは、意外なことに、「能動的先延ばしタイプ>先延ばしをしないタイプ>受動的先延ばし」という順番になった。
- 具体的な実行機能の要素を見てみると、受動的先延ばしのタイプは抑制機能に弱点がある。
- 先延ばし傾向を持つ人は、運動をすることによって実行機能を改善する可能性がある。特に、受動的先延ばしのタイプは衝動を止める力を高めやすい。
研究でピックアップされた、「能動的先延ばし」と「受動的先延ばし」について簡単に解説しておきましょう。
- 能動的先延ばしは、自制心が欠如しているわけではなく、戦略的な時間管理と言えます。このタイプは、自分の意思で先延ばしし、締め切り直前のプレッシャーを利用することで集中力を高めることに長けているのです。
- 一方で、受動的先延ばしは、悪い先延ばしと言えます。衝動を止める力や目標を念頭に置いて行動する力が弱いと言えます。
受動的先延ばしはストレスや疲労につながりやすいと指摘されています。なぜなら、「先延ばししてしまった自分は意志力の弱い人間だ…」と自分を責めてしまうからでしょう。
そんな受動的な先延ばしに心当たりがある人は、この研究で示された運動法に取り組んでみるといいでしょう。運動が先延ばしを減らしてくれる理由について、3つの理由が挙げられています。
- 前頭前野が活性化する:有酸素運動によって実行機能に関連する前頭前野という部分の血流が増える。
- ドーパミンが増える:運動によってドーパミンやノルアドレナリンなどの集中力に関連する物質が増える。
- 神経可塑性が上がる:運動はBDNFを増やすことで、神経回路が強化され学習能力が上がる。
【実践】まずは1日10分を目指して息が上がるぐらいの運動をしてみよう!
おすすめの習慣プラン
- 作業中に集中力が落ちてきてYouTubeを開きそうになったら…
- →ルームランナーを時速6km5分だけ歩く
- 朝起きてリモートワークに取り掛かるまでに時間がかかるときは…
- →家の周りを1周する(5分ほどの運動)
- 昼食後に眠くなってスマホを触り始めたら…
- →食後は外に出て、10分ほど早歩きする
ステップ0:研究で行われた運動の強度を確認しよう
研究の条件は以下のとおりでした。
- 週3回で8週間
- 1回30分
- 最大心拍数の60〜69%
最大心拍数の60〜69%は体感で言うと、息は少し上がるけど会話はできるぐらいのレベルです。つまり、軽いジョギングや速歩きくらいの強度と考えていいでしょう。
ステップ1:運動までのハードルを小さく考えよう
先延ばししがちな人はハードルが高いと行動を起こすことが億劫になります。そこで、行動のハードルを下げて実践してみましょう。いきなり「30分ウォーキングをするぞ!」と思わず、「とりあえず5分外に出る」ぐらいに思っておきましょう。
一度に30分実践しなくても、10分間の運動を1日3回に分けて行ってもいいです。昼休みなどの隙間時間に行えば、運動によって前頭前野が活性化する効果があるため、仕事の生産性を高めることができます。
ステップ2:運動に楽しみを加えてみよう
誘惑に負けやすい人なら運動自体に楽しい要素を加えるのがおすすめです。
例:
- 散歩中に好きなポッドキャストを聞く。
- エアロバイクを漕いでいる途中にアニメやYouTubeを見る。
- ジョギングしながら好きな音楽のプレイリストを再生する。
まとめ
- 先延ばしは意志の弱さだけではなく「実行機能」と呼ばれる脳の働きと関係している。
- 有酸素運動は実行機能を改善する効果がある。
- 特に、受動的先延ばしタイプでは実行機能のうち、抑制機能が弱い傾向がある。
- 軽い有酸素運動(速歩きや軽いジョギング)を習慣化することで、抑制機能を高め、先延ばし対策になる可能性がある。
先延ばしは単なる意志の弱さではなく、実行機能と呼ばれる脳の働きと関係している可能性があります。研究では、有酸素運動を継続することで実行機能が改善し、特に先延ばし傾向のある人に効果が見られました。まずは短時間のジョギングなどから始めて、日常生活の中に運動を取り入れてみるとよいでしょう。
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