夜型人間の方が知能が高い?
1999年のシドニー大学らの研究によると、朝型の人よりも夜型の人の方がワーキングメモリや処理能力に優れていることが示されています。
- 被験者:17~34歳のアメリカ軍新兵420人(スクリーニング前)
- 内容:体内時計に関する自己申告の質問に回答してもらい、知能テストの結果と比べてみた
測定
被験者に対して以下の項目を計測し、研究の指標にした。
- 体内時計の質問①:①「Morningness Eveningness Questionnaire(MEQ)」という朝型か夜型かを判断する尺度
- 体内時計の質問②:「Composite Circadian Scale」という体内時計を判断する尺度
- 知能テスト①:「Cognitive Abilities Measurement-Version IV(CAM-IV)」というワーキングメモリや処理速度を測るテスト
- 知能テスト②「Armed Services Vocational Aptitude Battery(ASVAB)」というアメリカ軍への入隊資格を判断するテスト
それぞれのテストについていくつか補足しておきましょう。体内時計に関する質問では、例えば「一日の計画を自由に立てられるとしたら何時に起きますか」といった質問がなされます。被験者が朝型なのか夜型なのかを診断したわけです。
知能テスト②では、一般科学・算術的推論・語彙力・段落理解…など総合的な科目が含まれています。
なお、体内時計の質問①、②に関しては一日のうちランダムなタイミングで行った。ただ、知能テスト①については、8時から12時の朝の時間帯に実施。
知能テスト①は朝の時間帯に実施されたので、夜型と思われる被験者には不利な状況でした。というのも、夜型の人は朝の時間帯には脳のパフォーマンスが最大化されないからです。なお、知能テスト②については一日のランダムなタイミングで実施されました
結果
体内時計の質問と知能テストの相関関係を調べたところ、夜型の被験者の方が全体的により高い知能スコアをとっていた。(知能テスト①および②のスコアと、体内時計のスコアは中程度から程度の負の相関がみられた※体内時計のスコアは朝型ほど高い)
考察
つまり、朝型の人よりも夜型の人の方が知能全般で優れている可能性があると言えます。
しかも、夜型の人には不利な朝の時間帯であっても夜型の人の方がリードしていいました。なぜなら、朝の時間帯に測定された知能テスト①の項目である「処理速度」「時間処理」「ワーキングメモリ」なども夜型の方が少しだけ高いからです。
ただし、相関関係は強いものではないので、「もしかしたら夜型の人の方が全体的に知性が高いかもしれない」ぐらいに理解しておいてください。
ともあれ、「早起きして朝活をするべき!」「成功者はみんな朝型の人間である」といった説は迷信であると言わざるを得ません。重要なのは、自分の体内時計に合致したタイミングで仕事をすることです。例えば、夜型の人なら集中力がピークになる夕方や夜の時間帯をうまく活用することによって、朝型の人よりも高い成果を生み出すことができるでしょう。
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