蛍光ペンを使うときに、どこが重要なのかを絞り込めずテキスト全体を塗りつぶしてしまうことがよくありますよね。
蛍光ペンを使うときには、テキストを2回読むこととポイントを絞ってマーカーを引くことの二点をよく覚えておきましょう。
「蛍光ペン+再読」で内容理解度が8%上昇
2014年のカバナント大学の研究によると、蛍光ペンはよりポイントを絞ってからマークした方が効果的だと示されています。
介入
- 被験者:平均年齢19.9歳の184人の大学生
- 内容:マーカーをつけながら文章を読んだ場合、その文章の内容に関する質問に正確に答えられるかどうかを調べた。
被験者に、地下水に関する文章(856語)を6分間で読んでもらった(1回目の学習)。被験者はランダムに以下の二つのグループに分けて比較。
- マーカーを使うグループ(黄色のマーカーを渡され、自分が授業で教科書を読むときと同じように使うように指示された)
- マーカーを使わないグループ
その後、それぞれのグループは以下のどちらかの学習方法に基づいて、もう一度文章を読むように指示される(2回目の学習)。
- 集中学習:一回目の学習のすぐ後にもう一度文章をすぐ読む
- 分散学習:30分関係のない活動を行ってもらった後、もう一度文章を読む
そして、1週間後に穴埋め式の内容確認テストを受けてもらった。
結果
- 分散学習でも集中学習でも、マーカーを使わないよりも使った方が確認テストの成績が高かった(使わなかった場合の成績と比べて、マーカーを使った場合の成績は8%高かった)
ひとりひとりのマーカーの付け方と学習成績を調べてみたところ、以下の傾向が見られた。
- 確認テストにおいては、マーカーされた情報に関する質問のほうがより正確に答えられていた。(マーカーされていない情報に比べて、マーカーされた情報に関連する質問に正答できる確率は平均で12%高かった)
- より多くのマーカーをつけた人と、より少ないマーカーを付けた被験者を比べたところ、マーカーを多くつけるほど成績が高い傾向は見られず、むしろ少なくマーカーを使った方が優れていた。
- また、少なくマーカーを付けた人の方がより重要なキーワードを厳選して、効率よくマーカーをつけていた。(重要なキーワードにマーカーをつける確率が5%高かった)
要約・考察
研究のポイントをまとめると以下の通りになります。
- マーカーを付けながら文章を読み、その文章を読みなおす学習をすることによって内容理解が深まる
- 少なくマーカーをつけるほうが、重要なキーワードを捉えやすい
重要なのはマーカーを引いて覚えた気になるのではなく、マーカーを引いた後もう一度文章を読み直すことです。なぜなら、重要だと思った箇所をもう一度読み直すことによって理解を促すことができるからです。実際に、研究では同じ文章を2回にわたって読むように指示されています。
2について、マーカーをつける時には重要な箇所を厳選してつけようとするだけで、重要なキーワードを捉えやすくなります。理由は、少なくマーカーを使う人の方が、どこにマーカーを付けるか決めるときにより内容を吟味しているからだと考えられます。
筆者のおすすめは、以下のような勉強の仕方です。
- 1回目の読解では、鉛筆や細い蛍光ペンなどでマーカーをつける
- 2回目の読解では、1度目にマーカーを付けた箇所を参照しながら、特に重要だと思う特に箇所を厳選して、太い蛍光ペンでマーカーをつける
このようにマーカーを使い分けることによって、その文章全体を把握しつつ、重要なところを見極めることができます。一度目に読む時には、文章の全体がつかめていないので、どこにマーカーを引けばいいかわかりませんよね。2回目に読むときに太いマーカーをつけることによって、テキスト全体を塗りつぶすことがなくなるでしょう。
コメント