- グルテンフリーってよく聞くけど健康への効果はあるの?
- グルテンフリーにした方がいいの?
- 大麦、ライ麦などの穀物を楽しみたい
今回はグルテンフリーって別に特別健康なわけではないよ~というお話です。
グルテンフリーとダイエットは関係なしだから気をつけて!
そもそもグルテンフリーが健康に良いというのは誤解です。
グルテンフリーによって体調が改善するのはグルテンに対してのアレルギーがある人(=セリアック病)のみだからです。逆にグルテンに対してアレルギーがない人がグルテンフリーの食事をしてもダイエット効果や健康効果が得られるわけではありません。例えるならエビのアレルギーがない人が エビ抜きの食事をしても 別に意味がないのと同じです。
いい穀物はダイエットに効果的
ライ麦や大麦などをグルテンを含む食材にはむしろダイエット効果が期待できます。
例えば、大麦には「ベータグルカン」や「フルクタン」という水溶性の食物繊維が含まれています。水溶性食物繊維は小腸では吸収されず大腸まで届き腸内細菌のエサとなります。腸内細菌は水溶性食物繊維を発酵させることによって短鎖脂肪酸を作ってくれます。短鎖脂肪酸は脂肪の蓄積がしづらくなるように働きかけてくれるのです。
同じくグルテンが含まれるライ麦にも水溶性食物繊維であるフルクタンが含まれます。
また、食物繊維を豊富に摂ることによって食事による血糖値の上昇を抑えることができるようになります。糖尿病や肥満を予防する効果が期待できるでしょう。
実際に、必要以上にグルテンフリーを実践することで腸内環境が逆に悪化するのではないかという研究も出ています。
グルテンでダイエットできた!…気がするのは?
グルテンを抜くことによって減量出来たというのはグルテンどうこうの問題ではないかもしれません。 グルテンが含まれているのは基本的に小麦などの 炭水化物なのでグルテンフリーの食事をすると自然と炭水化物の摂取量が減ったというだけかもしれません。
むしろ免疫力アップ?グルテンで病気になるわけでもない
グルテンの摂取と心臓病について調べた観察研究(※)を見てみると、グルテンの摂取と冠動脈動脈硬化性心臓病と関係ないぜ~という結論になっています。
グルテン自体に関してもグルテンアレルギーがある人以外には決して悪者ではありません。
というのも、グルテンタンパク質はナチュラルキラー細胞を活性化し免疫力を高める効果があるからです。
非セリアック性グルテン不耐症は思い込み!?
中にはセリアック病ではないけどグルテンに対して過剰に反応してしまう「非セリアック性グルテン不耐症」の人がいるとも言われています。
しかし、このグルテン不耐症に関しては 本当なのか嘘なのか微妙なところというのが研究の結果です。
2011年のランダム化比較2重盲検比較試験(※)ではグルテン不耐症は思い込みによるところもあるかもという結果が示唆されています。
介入の準備
- 研究対象はセリアック病ではないもののグルテンを食べると調子が悪くなると訴える被験者。
- まず被験者たちにパンやマフィンを食べてもらいグルテンの有無が分かるかどうかを確認。
- 次に被験者全員にグルテンフリー食を2週間ほど食べてもらう
介入
被験者を2つのグループに分けて食事をしてもらった。
- グルテンありの食事を実践してもらう
- 「グルテンあり」だと説明して食べてもらうが実際にはグルテンなしのプラセボ食を実践してもらう
結果
グルテンが実際には入っていない プラセボ食を食べた人たちにも症状が出た。ただし実際にグルテンを食べたグループはより体調が悪くなった傾向も見られた。
つまり、実際にはグルテンフリー食にも関わらずグルテンだと思い込んで食べると体調が悪くなったという結果になったのです。
しかし実際にグルテンを食べたグループの人達は グルテンのプラセボ群よりもさらに症状が悪くなったため 完全な思い込みとは言い切れないのも事実だよという微妙な結論。
ですので、実践的な結論をまとめると次のようになります。
- グルテン入りの穀物は健康効果が高いものも多いから食べないのはもったいない
- グルテンによって体調が良くなるというのは思い込みの可能性も高い
- それでもグルテンを抜いて体調が良くなったというのはグルテンというより小麦のせいかも。小麦はそもそも太る食材なので控えたほうが無難。
- グルテンが入っていたとしても小麦ではなく大麦やライ麦などを食べてみよう
- それでも心配ならオーツ麦などを食べてみる。オーツ麦ならグルテンが入ってない
こうすることによって グルテンによる影響を避けつつ、良質な穀物を食べることができます。
グルテン不耐症を訴える人はグルテンが問題というより小麦が問題なのではないか?という指摘もありますので小麦を控えて様子を見てみるといいでしょう。
コメント