「私は不安を感じている」と言葉にするだけで即興スピーチでも緊張しない!?

精神力

カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究では、「感情のラベリング」によって不安が減ることを示しています。感情のラベリングとは、自分が今感じている感情について「私は不安を感じている」というように明確な文章にすることです。

 

根拠となる研究
Affect labeling enhances exposure effectiveness for public speaking anxiety - PubMed
Exposure is an effective treatment for anxiety but many patients do not respond fully. Affect labeling (labeling emotional experience) attenuates emotional resp...
  • 被験者:102人
  • 内容:被験者に観客の目の前で即興でスピーチをしてもらい、感情のラベリングを行うことで不安感がどのように減るか調べた
  • 計測:心拍数・皮膚コンダクタンス・脳スキャンによってストレスレベルを測定
介入

被験者に観客の目の前で即興でスピーチをするように指示した。その後、被験者を2つのグループに分けて別々の介入を行う

  1. 感情のラベリングを行ったグループ(介入群)
  2. 全く関係のない複数の形状から同じものを探すタスクを行うグループ(対照群)

なお、グループ1の感情のラベリングでは「私は○○を感じている」の文章を埋めてもらうタスクを行ってもらった。

 

介入の前後で、被験者の不安のレベルを調べるために心拍数の測定・皮膚コンダクタンス・脳スキャンを実施した。また、主観的な恐怖のレベルも評価してもらった

 

結果
  • 対照群のグループ2と比べて、グループ1の感情ラベリングを行ったグループは心拍数と皮膚コンダクタンスが急激に下がり、脳スキャンでは扁桃体の活動が抑制されていた
  • 感情ラベリングにおいて、自分の感情を表現する言葉をより多くあげた被験者の方がストレスレベルが大きく下がっていた
  • また、感情の調節を苦手とする人の方がより感情のラベリングによるメリットが大きかった
考察

つまり、感情のラベリングを行うことでストレスレベルが下がりメンタルコントロールを早く取り戻すことができたと言えます。

理由としては、自分の身体的反応に名前をつけるだけで安心感が得られるからだと考えられます。例えば、ストレスにさらされているときに、頭に血が上ったり、心臓がバクバクしたり、冷や汗が流れたり…などの身体反応が出てくるとパニックになってしまいます。そこで感情というラベルを付けてあげることで自分に起こった変化を整理することができるのです。

 

 

 

また、感情ラベリングを行う時のポイントとして2つ挙げられています。

  1. 自分の感情を表現する言葉をできるだけ多く上げる
  2. しっくりくる感情を見つけることだけに集中する

 

1について、自分の感情を性格かつ詳しく描写できる人の方がよりメンタルをコントロールしやすいということです。感情を表現するボキャブラリーやが多い人や、自分の体に起こった変化を鋭敏に察知できる人は感情のラベリングもうまいです。例えば、スピーチをしている時にドキドキするのは緊張に近いのかそれとも恐怖なのか不安なのかとより正確な描写を見つけていくことが重要です。

 

2について、別の研究では感情そのものやその感情を抱いたきっかけに注目すると扁桃体の活動は逆に活発になると示されています。あくまで自分のストレスに対する身体的な反応を感情という言葉で表すのが重要なのです。

例:スピーチをしている時に恐怖を感じるケース

×感情そのものや感情を抱いたきっかけに注目する
「スピーチをしている時に誰かがあくびをしていたから余計に怖くなってしまったな…」

○感情を言葉で表すだけ
「心臓がドクンとして嫌な汗が流れる感覚がしたけど、あの感情は緊張、いやどちらかというと恐怖だろうか?」

 

【本日の行い】ストレスを感じた時には、「私は〇〇と感じている」の文章を埋める

【獲得経験値】

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