- 体の疲れをとるために最適な入浴の時間や温度は?
- 熱すぎるお湯に入ったり長風呂したりするとどんなデメリットがあるの?
体の疲れは40度の湯船に10分で取れる
千葉大学の研究では、40度のお湯に10分浸かるだけで体の疲労は取れることが示されています。
- 被験者:平均年齢22歳の男性10人(スクリーニング後)
- 内容:筋肉を疲労させるタスクを行ってもらった後、さまざまな入浴を試し、筋肉の疲労がどの程度回復するかを調べた
介入
それぞれの被験者が、1週間の間隔を開けて別の日の同じ時間帯に、違う入浴法によって入浴を行った。
- 入浴:40度の湯船に首まで浸かってもらう
- シャワー:シャワーを浴びる
- ミストサウナ:40度の細かいお湯の粒子が出るミストを浴びてもらう
- 入浴なし(対照群)
なお、入浴の流れは4つの期間に分かれて実験が行われた。
- 30分の待機期間
- 10分の肘屈曲タスク(=筋肉の疲労を促す課題)
- 10分間の入浴期間
- 20分間の休憩期間
測定
入浴によって筋肉の疲労がどれだけ取れたかを判断するための指標として、筋電図の平均周波数(=ここでは筋肉の回復度合いを示す)などを計測。
結果
入浴の20分後の時点で、湯船につかる場合は他の入浴法と比べて筋肉の疲労からの回復度合いが高かった。(筋電図の平均周波数が有意に高い傾向が見られた)
要約・考察
つまり、40度の湯船につかる場合には最も筋肉の疲労からの回復効果が高いということです。理由としては、湯船につかる場合では水圧による筋肉の疲労回復の影響があるからだと思われます。
また、研究では入浴時間は10分でした。ですので、少なくとも体の疲労をとる上では入浴時間は10分で充分みたいです。
高齢者は特に危険!長湯や熱すぎるお湯での入浴のデメリット
ヒートショック
42度を超える熱いお湯に浸かると、「ヒートショック」の危険性があります。ヒートショックとは、交感神経が刺激されて急激に血圧が上がり、心臓や血管の疾患が起こることです。
具体的には、失神・心筋梗塞・脳卒中などを引き起こすリスクがあります。実際に、気温の低い冬場では急に熱いお湯に入るとヒートショックを起こす事故が多いそうです。例えば、「寒い脱衣所からいいきなり熱い湯船につかる」「暖まったお風呂場から寒い脱衣所に出る」など極端な温度差にさらされる場合は注意が必要です。
なぜなら、極端な温度差によって血管の急激な収縮や拡張を引き起こし血圧が大きく変動するからです。例えば、暖房の効いたリビングから寒い脱衣所に入り、熱い湯船に入ったときのケースで考えてみましょう。
- まず暖かいところから寒さに対応するために血管が縮んで血圧が上昇する
- 衣服を脱ぎ寒い浴室へ入るとさらに血圧が上昇する
- 熱い湯船に入ると急に体が温めるため血管が広がり血圧が下降する
特に、ヒートショックは以下のような人に起こりやすいとされています。
- 65歳以上の高齢者
- 高血圧や糖尿病などがある人
- 肥満・睡眠時無呼吸症候群・不整脈の症状がある人
ヒートショックを防ぐためにも、お風呂の温度は熱くしすぎず38度から40度の適正温度を保つようにしましょう。また、前述した特にヒートショックの危険性が高い人は首まででなく胸までのラインで湯船につかるようにしましょう。なぜなら、首までお湯に浸かると心臓に負担をかけるからです。
浴室内熱中症
具体的には、長湯や高温での入浴によって汗をかき、体温が38度を超えるとのぼせやめまいなど熱中症のような症状が発生します。そのまま熱を放出することができず体温が40度を超えると、神経障害や意識障害が起きます。具体的には失神や痙攣といった症状が現れます。このような症状が起こると、ふらつきによる転倒で怪我をしたり、浴槽で溺れてしまったりなどの事故につながります。
【実践】お風呂は40度で首まで10分浸かろう
お湯はりをする時には40度で設定するといいです。シャワーで済ませるのではなく湯船に首までしっかり浸かりましょう。
また、お湯の設定などが出来ない場合は、自分で湯船の温度を測ってみましょう。なぜなら、肌感覚で「これぐらいかな」と思っていても意外と温度が高いことがあるからです。水温計などを使って入浴する時にどれぐらいの温度なのか計ってみるといいでしょう。Amazonなどで「お風呂 水温計」と検索して適当な商品を選ぶといいです。
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