スマホの通知でADHD傾向が強まる!?

探究力

頻繁なスマホの通知で幸福度が下降!?

ゲームやメッセージなどの通知に気をとられて、勉強や仕事を中断されることがありますよね。通知が来るとついつい確認してしまいますが、頻繁な通知に気をとられるのはよくありません。一般的な人でもADHDのような不注意、多動性の傾向が見られるようになるのです。

 

ADHDとは、注意欠如多動症(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder:ADHD)のことです。ADHDには、不注意・多動性などの症状が見られます。

  1. 不注意:忘れ物が多い、何かやりかけでもそのままほったらかしにする、集中しづらいもしくは自分の興味のある事に対しては集中しすぎて切り替えが難しい、片付けや整理整頓が苦手。
  2. 多動性:落ち着いてじっと座っていられない、過度なおしゃべり、ソワソワして体が動いてしまう

 

そして、スマホから通知が頻繁に来ると、ADHDでない人であっても、不注意や多動傾向が強まると言われています。実際に、2016年に発表されたバージニア大学などの研究では、頻繁なスマートフォンの通知が不注意や多動傾向を高めてしまうことが示されています。

 

根拠となる研究
https://www.researchgate.net/publication/291618379_Silence_Your_Phones_Smartphone_Notifications_Increase_Inattention_and_Hyperactivity_Symptoms

 

  • 被験者:平均年齢20歳のADHD傾向ではない一般的な221人の大学生(スクリーニング前)
  • 内容:スマホの通知をオフにする期間とオンにする期間をそれぞれ設け、不注意や多動性の傾向が増えるかを調べた
介入

それぞれの被験者を2つの期間に分けて比較。

  1. スマホの通知をオンにして、手の届く範囲に置く期間(1週目)
  2. スマホの通知をオフにして遠ざける期間(2周目)

なお、被験者の半数は逆の順序で介入を実施した。

 

介入の前・1週目の介入後・2週目の介入後のタイミングで、被験者に以下の測定を実施した。

  1. スマホに邪魔される頻度
  2. 不注意・多動性:例えば、「周囲の環境や関係のない思考などの外部の刺激によって簡単に気をそらされることがどれぐらいの頻度でありますか?」といった質問に回答してもらった。
  3. 生産性:生産性について自己評価してもらった。
  4. 心理的幸福度:「自律性・環境制御力・積極的な他者関係・人生における目的」の4つを評価に加えて、全体的な人生満足度の評価を行った。

 

結果

介入前のベースラインにおいて、通知の多さについて以下の傾向が見られた。

  1. スマホによる邪魔が多いほど、不注意や多動性の傾向が強まることが分かった
  2. また、不注意と多動性のレベルが高いほど生産性と心理的幸福感が低下していた(特に不注意は影響力が強かった)
  3. スマホの通知による邪魔を多く経験している人ほど、自分は生産性が低く、環境制御力にかけていると感じており、わずかに人生における目的意識も欠けていた

 

スマホの通知のオン/オフの期間を比べると、以下の傾向が見られた。

  1. 通知がオフになっている期間と比べて、通知がオンになっている期間では、不注意と多動性のレベルが高かった
  2. 通知による不注意が誘発されることで、生産性と心理的幸福度(自律性、環境制御力、積極的な他者関係、人生における目的)が下がっていた
 
要約・考察
  1. ADHDの症状がない一般的な人であってもスマホの通知をオンにしておくと、不注意になりがちで落ち着きもなくなる
  2. 生産性が下がる(仕事や勉強の効率が下がる)
  3. 通知によって集中力が阻害される状況が続くと、幸福度も下がる

特に3つ目には注目です。スマホ通知によって気をそらされることが頻繁にあると、人生における幸福度も下がってしまいます。なお、この研究では心理的幸福度を自律性・環境制御力・積極的な他者関係・人生における目的の四つに分けて分析しています。「環境制御力」は聞き慣れない言葉ですが、自分の状態や能力に適した環境を選択する能力のことです。簡単に言うと、自分の周囲の環境をコントロールし、うまく活用する力のことです。例えば、以下のような特徴を持つ人は環境制御力が高いといえます。

  • 自分の周囲にある機会をうまく使っている
  • 日常の業務を管理できている
  • 周囲の状況を変えたり、改善したりできている

つまり、スマホの通知に集中力が頻繁的に邪魔されると、日常生活や業務において自分が管理できているという感覚が薄くなってしまうのです。

人生において幸福度を高めるには、「自分の人生の選択権を自分が握っている」という感覚がとても重要です。アプリやゲームの通知に踊らされていれば、心理的幸福度が下がってしまうのも当然と言えます。

 

 

【実践】スマホの通知を設定し直そう

研究では、通知をオフにする介入において、音・バイブ・フラッシュなどの設定をすべてオフにして、スマホをカバンやポケットなどにしまうように指示されました。ですので、私たちがスマホの設定をするときにも、同じように通知を設定し直してみましょう。

スマホにはさまざまな通知が届きますが、通知の種類としては以下のようなものがあります。

音声通話やビデオ通話の着信不在着信新着メールやチャットアプリの通知スケジュールやアラームシステムやアプリのアップデート

 

ステップ1:通知バーに出てくる通知を制限しよう

特にアプリの通知などはなるべく通知バーに出てこないように設定しておきましょう。例えば、勉強している時にゲームアプリの通知が出てくると集中力を邪魔されてしまいます。

↑「設定」のアプリを開いて、「アプリと通知」を選択(画像はAndroid)

 

↑「通知の設定」を選択。

 

 

↑「通知を最近送信したアプリ」を見てみると、最近通知バーに表示されたアプリが並んでいる。

 

↑通知バーに出てくる必要はないなと思ったものは、ボタンをタップして通知をオフにしておきましょう。

 

 

ステップ2:通知の音量を設定してみよう

忘れないように通知してほしいものでも、必ずしも通知音が必要でないものもあります。例えば、「カレンダーアプリからの通知は表示させておきたいけど、ピコンとなるのがうっとうしい」という場合音量を消すことができます。

↑「設定」のアプリから「音設定」を選択。着信音や通知の音について設定することができる。

 

↑「着信音と通知の音量」の部分を一番左に持っていくと、バイブ音だけにできる

 

 

より詳しく設定したい人はこちら↓のページを参考にしてみてください。

Android の通知を管理しよう!通知の種類やその設定方法を解説
Android の通知は設定によって変更できます。通知のオンオフや表示頻度を適切に変更して、スマホを使いやすく設定してみましょう。
わずらわしいiPhoneの通知をオフ、すべて削除する方法
アプリの新着情報など、iPhoneの通知はついつい溜まってしまいます。そんな時はアプリごとに通知のオンオフを設定したり、一度通知をすべて削除することも試してみましょう。
【獲得経験値】

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