「広く浅く」vs「狭く深く」あなたの人間関係のスタイルは?

社交力

あなたは「人付き合いが広い方だ」と思いますか?それとも、「少数の親しい人と深く付き合う方だ」と思いますか?

2011年にオランダのフローニンゲン大学で行われた研究によると、外向的な人ほど多くの友人や知人を持つ傾向があることが明らかになっています。しかし、興味深いのは「友人が多い=より親密な関係を築ける」というわけではない、という点です。

今回は、この研究の内容をもとに、「外向性」と「人間関係の広さ・深さ」の関係について詳しく見ていきます。あなたの交友関係を振り返りながら、ぜひ読み進めてみてください。

 

外向性が高い人は人付き合いの規模は大きいが、親密なわけではない

2011年に発表されたオランダのフローニンゲン大学の研究によると、外向性の高い人ほど広い人付き合いをするものの、それぞれの人との親密さを求めるわけではないことが知られています。

 

 

根拠となる研究
https://www.researchgate.net/publication/254735347_Extraverts_Have_Larger_Social_Network_Layers_But_Do_Not_Feel_Emotionally_Closer_to_Individuals_at_Any_Layer
  • 被験者:平均28歳の117人のオランダ人
  • 内容:外向性の高さと、ネットワークの規模やネットワークにおける人との親密性がどの程度関連しているかを調べた

 

方法

被験者に対して測定した項目は以下の通り。

  • 社会人口学的データ:年齢・性別・学歴・交際状況といった基本的な情報。また、交際状況は結婚や同棲をしているか、特定のパートナーがいるかを聞いた。
  • ネットワークの規模:生存している親族・友人・知人のリストを作成してもらった。加えて、携帯電話の連絡先・メールリスト・住所録を確認し、今後一年間にわたって個人的な関係を維持したいと考えているすべての人物をピックアップした
  • ネットワークのメンバーとの親密さ:それぞれのネットワークに属するメンバーに対する感情的親密さを10段階で評価した。またメンバーと最後に対面した時期を報告した
  • 外向性の評価:外向性を評価する20項目の質問票に、それぞれ5段階で回答してもらう。(例:「私はおしゃべりが好きだ」「私は他人と多くを共有するのが好きだ」)

 

また、ネットワークの規模を調べる際に、ネットワークの層を以下の三つに分けてから分析しました。

  1. 支援グループ:危機的状況で頼る相手
  2. 共感グループ:その人の突然の死を非常に悲しむような相手
  3. 外層グループ:比較的感情的なつながりが薄く、接触頻度が低い人々

 

結果
  • 平均のネットワークの規模は53人であった。そのうち、支援グループの平均人数は7人、共感グループの平均人数は11人だった。
  • 外向性とネットワークの規模の関連性を調べたところ、外向性が高いほど外層グループの友人の数が多い傾向が見られた。また、支援グループと共感グループの人数も多い傾向が見られた
    • 特定のパートナーがいる人は外層グループの友人の数が少なかった。
    • 年齢が高いほど支援グループの人数が小さくなる傾向があった
  • 外向性とネットワークのメンバーとの親密さの関連性を調べたところ、外向性が高くてもメンバーとの親密さが高い傾向はみられなかった
    • 外層グループにおける親密さはネットワークの規模が大きくなるほど低くなる傾向が見られた。
    • 年齢が高い人ほど外層の人々との親密さを感じる傾向があった。
    • 大卒の人は外層グループの友人との親密さが低かった。
    • 女性は共感グループのメンバーとの親密さが高かった。
    • 特定のパートナーがいる人は支援グループのメンバーとの親密さが高かった
要約・考察

研究で示されたことを要約すると以下の通りになります。

  • 外向的な人はより多くの友人を持つが、それぞれの友人と特に親密さが高いわけではない
  • また、より多くの友人を持っている方がそれぞれの友人との親密さは低くなる

やはり、外向的な人はより広い人間関係を持つという結論になりました。この点は、一般的なイメージと合致する結論ですね。ただ、気をつけて欲しいのは、(少なくとも)この研究では外向的な人がそれぞれの友人との親密さを重視しているわけではないことが分かっただけです。内向的な人が外向的な人よりも一人の友人と親密さを重視するかという点は分かりません

 

しかし、少なくとも人付き合いを広げるのは一長一短と言えそうです。狭く深い人付き合いをするなら、それぞれのメンバーとの親密さは上がりますが、閉鎖的なネットワークになると言えます。広く浅い人付き合いをするなら、それぞれのメンバーとの親密さは下がりますが、より多様性のあるネットワークになると言えます。

 

またネットワークの規模と親密さに関して、以下のポイントは重要です。

  • 特定のパートナーがいる人は、ゆるい結びつきの知り合いが少なくなるが、危機的状況で頼れる相手との親密さが上がる
  • 年齢が高くなると、危機的状況で頼る相手が少なくなるが、ゆるい結びつきの知り合いに対する親密さを感じるようになる

つまり、彼氏彼女がいる人や結婚している人は、特に親しい相手との関係性が強固になる分、人付き合いが狭くなりがちと言えるでしょう。

 

 

さて、外向的な人が広い人間関係を築きやすいのは一般的なイメージとも一致する結果でした。

しかし、人付き合いを広くすればその分各メンバーとの親密度は下がってしまいます。また、人付き合いのうまさを単純に知り合いや友人の数で測るという考え方も間違っているでしょう。なぜなら、外向的な人が親密さを重視して人付き合いをしているわけではないからです。

 

【実践】性格やライフステージに合わせて人付き合いを見直してみよう

広い人付き合いと狭い人付き合いのどちらが「正しい」わけではなく、それぞれにメリット・デメリットがあると言えます。自分の性格的に無理のない程度に、ネットワークを広げてみたり既存のネットワークの中でメンバーと親密度を深めたりしてみましょう。

 

また、人生のステージによって人間関係のあり方は変化することも示されていました。特定のパートナーができると交友関係は狭くなる傾向があり、年齢を重ねると広いネットワークの人とも親密さを感じやすくなる――こうした傾向を知ることで、「今の自分に合った人間関係の築き方」を考えるヒントになるかもしれません。

 

ステップ1:「広い人付き合い」のためにネットワークを広げてみる

元々の性格が内向的であったり、特定のパートナーができたことで交友関係が狭くなっていたりするときは、意識的にネットワークを広げてみましょう。

 

共通の趣味や関心を活かす
  • イベントやコミュニティに参加する

    →例えば、読書会、スポーツサークル、ボードゲーム会、カフェ巡りの会など。
  • オンラインコミュニティを活用する

    →X(旧Twitter)、Facebookグループ、Discordなどで同じ趣味の人と交流する。
  • 習い事を始める

    →語学、ダンス、写真、料理教室など、新しいスキルを学びながら人とつながる。

 

日常生活の中で自然に広げる
  • 行きつけの場所を作る

    →カフェやバー、ジムなど、定期的に通うことで顔見知りが増える。
  • 挨拶+一言を意識する

    →職場や近所の人に「おはようございます」+「最近どうですか?」など、ちょっとした会話を増やす。
  • 友人の友人を紹介してもらう

    →飲み会やランチ会に参加すると、自然に知り合いが増える。

 

ちょっとした工夫を取り入れる
  • SNSで発信してみる

    →好きなことを投稿すると、共通の興味を持つ人とつながるきっかけに。
  • ボランティア活動に参加する

    →地域の清掃活動やイベントスタッフなど、自然に交流できる場を活用。
  • 旅行先で現地の人と話してみる

    →海外や国内旅行の際に、カフェや宿で他の旅行者と話すのもアリ。

 

「軽いつながり」も大切にする
  • 知り合いとゆるく連絡を取る

    →久しぶりの人にも気軽にメッセージを送ってみる。
  • 大人数の集まりにときどき顔を出す

    →あまり親しくなくても、顔を合わせる回数が増えれば自然と関係ができる。
  • 「自分から誘う」ことを増やしてみる

    →「今度○○行きませんか?」と軽く声をかけるだけでも、つながりが広がる。

 

ステップ2:深い人付き合いのためにネットワークメンバーとの親密さを深めてみる

今のネットワークが広い分、それぞれのメンバーとの関係が急になっているなと感じた場合、特に重要だと思うメンバーに限って親密さを深めてみましょう。

 

一緒に過ごす時間を増やす
  • 1対1で会う機会を作る

    →グループよりも深い話がしやすいので、ランチやカフェに誘ってみる。
  • 「一緒に何かをする」機会を増やす

    →旅行、スポーツ、料理、映画鑑賞など、共同作業を通じて距離を縮める。
  • 普段と違うシチュエーションで会う

    →仕事や学校以外の場所で会うことで、新しい一面を知ることができる。

 

コミュニケーションの質を上げる
  • 相手の話を「共感」しながら聞く

    →うなずいたり「それ、すごく分かる!」と共感を示すと、話しやすくなる。
  • オープンな話題を出す

    →失敗談や悩みを共有すると、相手も本音を話しやすくなる。
  • 相手の変化に気づく

    →「最近忙しそうだね」「髪型変えた?」など、小さなことでも気にかけると距離が縮まる。
  • 適度に「頼る」&「頼られる」関係を作る

    →ちょっとした相談をすることで、信頼感が生まれる(例:「最近○○で悩んでて…」)。

 

連絡をマメに取る
  • 短いメッセージを気軽に送る

    →「最近どう?」だけでもOK!
  • 相手の誕生日や記念日を覚えておく

    →メッセージを送るだけで、相手にとって特別な存在になれる。
  • 会えなくてもオンラインでつながる

    →ビデオ通話やSNSで交流を続ける。

 

共有するものを増やす
  • 共通の趣味や習慣を作る

    →例えば、「毎月1回カフェ巡りをする」「好きな映画を一緒に観る」など。
  • プレゼントやちょっとしたお土産を渡す

    →「これ好きそうだから買ってみた!」など、ちょっとした気遣いが距離を縮める。
  • 思い出を形にする

    →一緒に撮った写真を送る、アルバムを作るなど

 

 

相手を大切にしていることを伝える
  • 感謝の気持ちを伝える

    →「いつも話を聞いてくれてありがとう!」と直接伝えると、関係が深まる。
  • 相手の長所や魅力を言葉にする

    →「○○のこういうところが素敵だよね!」と言われると嬉しいもの。
  • お互いの夢や目標を応援する

    →「○○がやりたいこと、すごくいいね!」と励ますことで、心の距離が縮まる。

 

 

相手のライフスタイルに合わせた関わり方をする
  • 忙しい人には負担にならない距離感を

    →連絡の頻度を相手のペースに合わせる。
  • 相手の価値観を尊重する

    →自分の考えを押し付けず、相手の意見や選択を大切にする。

 

あなたは、広く浅く?それとも狭く深く?

自分の交友スタイルを見つめ直すきっかけになれば幸いです。

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