しりとりが終わらなくなる恐竜「ンクエバサウルス」
しりとりはどちらかのプレイヤーが最後に「ん」をつけてしまうとゲームオーバーとなってしまうゲームです。なぜなら「ん」から始まる言葉はないと思われているから。
ですが偏屈な人としりとりをすると、しりとりが終わらなくなることがあります。
この世には「ん」から始めるワードがあるにはあるからです。例えば「ンジャメナ」。ンジャメナはチャドという国の首都なんだとか。
ンジャメナは結構知っている人も多いらしく、エンドレスしりとりでは常套手段のようです。
実際、「ンジャメナ」と検索すると「ん」から始まる言葉のリストが出てくるぐらいです。他にも「ングル(ナイジェリア)」「ングラ・ライ国際空港(インドネシア)」「ンガウンデレ(カメルーン)」などがあるみたいです。
実は、しりとりの裏技をまとめているサイトにも載っていない「ん」から始まるワードが恐竜界にも存在します。その名も「ンクエバサウルス」。
ンクエバサウルスはジュラ紀の後期から白亜紀の前記に生息していたオルニトミモサウルス類(ダチョウ恐竜と呼ばれる奴ら)の恐竜です。
ぜひとも覚えておいてしりとりで使ってみましょう。
「胃石」はどうやって鳥類に引き継がれていったのか?
ンクエバサウルスは「ん」から始まるという以外にも重要な意味のある恐竜です。
ンクエバサウルスは、「胃石」という鳥の習性が恐竜時代から受け継がれていることを示す根拠となっているのです。
石を飲み込む動物の習性
今のハ虫類の一部や鳥類に見られる「胃石」という習性をご存知でしょうか?
胃石とはそのへんに転がっている石ころをわざと飲み込んで胃の中に入れておく習性のことです。
鳥類は胃石を飲み込む習性があります。鳥類の場合は飲み込んだ石が食物の消化を助ける役割を果たしています。飲み込んだ植物を胃の中の石とぶつけて、細かく潰しているのです。というのも鳥類には歯がありませんから、あごで噛む代わりにお腹のなかで噛んでいるようなものですね。
ですので化石として見つかる消化用の胃石はすり減って丸くなっていることが特徴です。
また、鳥類は石からカルシウム成分を取り込むという目的もあるそうです。
ワニも石を飲み込んでいる!?
は虫類ではワニも石を飲み込みます。これは「バラスト」(おもり)といって水の中で身体が浮かないようにするための習性です。
ワニは川の中から獲物を襲いますが、プカプカと体が浮いている状態ではすぐに気づかれてしまいますよね?
たまに水泳をやっている人で「体が浮いてしまってバサロキックができない」という方がいますが、そのときはワニに習って石を飲み込んでみるといいでしょう。
鳥と同じように胃石を持つ恐竜
さて、じつは恐竜にも胃石が見つかっている化石が発見されています。代表的なのは「シノオルニトミムス」というオルニトミモサウルス類の恐竜です。
発見されたほとんどの個体から1000個を超える胃石が発見されています。
シノオルニトミムスは何のために石を飲み込んでいたのでしょうか?
オルニトミモサウルスは陸上で生活していますから、ワニのようにおもり(バラスト)として石を飲む必要はありません。また、発見されたシノオルニトミムスのお腹から発見された胃石はチャートなどの珪酸質(けいさんしつ)の石でカルシウム成分に富むものではありませんでした。
消去法で考えると、やっぱり消化を助けるためと考えられます。鳥と同じですね。
胃石は恐竜から鳥に受けつがれたのか?
さて、オルニトミモサウルス類の恐竜が現在の鳥類と同じように胃石を持っていたことが分かりました。
しかし、鳥類の胃石を飲む習性は、オルニトミモサウルスが胃石を飲む習性が始まりなのでしょうか?
もしくはたまたま同じ習性を持っただけなのでしょうか?
結論から言うと、鳥類の胃石の習性は恐竜時代から受け継がれたものであると考えることができます。
これは胃石が見つかっているオルニトミモサウルス類の起源をたどると理解できます。原始的なオルニトミモサウルス類である「ペレカニミムス」という恐竜がいます。
ペレカニミムスは白亜紀前期に現在のスペインに生息していた恐竜で、名前の意味は「ペリカンもどき」です。ペリカンのような口先を持っているのですが、多くの歯が並んでいることが特徴的です。
さっき言ったとおり、胃石を持っているということは歯で噛むができないことを示します。歯を持っているなら、ペレカニミムスは胃石は持っていなかったことが推測できます。(実際に見つかってないはずです。)
つまり、初期のオルニトミモサウルスは歯を使っていたことが分かります。
そこから少しして歯を捨てて胃石を持つようになったオルニトミモサウルス類が現れます。そのうちのひとつが「ンクエバサウルス」です。ンクエバサウルスには歯がなく比較的大きな胃石を持っていました。
そしてシノオルニトミムスに続きます。シノオルニトミムスには1000個ぐらいの胃石が見つかったと言いましたが、胃石自体は比較的小さなものでした。
現在の鳥類の胃石もひとつひとつ小さなものです。というのもあまりにも大きいと空を飛ぶことができなくなります。
つまり、歯→大きい胃石→小さい胃石という風に特徴を変えていき、現在の鳥類にも引き継がれている可能性が考えられます。
恐竜と鳥類を結ぶものはいろいろと発見されていますが、胃石もそのうちのひとつなのかもしれませんね~。
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