「自分の体に自信がないから水着を着られない…」「体型がコンプレックスで異性にアプローチできない」「過度なダイエットや運動を始めて挫折してしまう」
誰しもが自分の体型にコンプレックスを抱いています。中でも、自己対象化の傾向がある人は体へのコンプレックスを抱きやすいので注意が必要です。
「外見の美」のための運動は体へのコンプレックスを悪化させる!?
- 鏡を見る回数が多い
- セルフィー(自撮り)を撮り過ぎる
- 他者やメディアと自分の外見を比較する
自己対象化の傾向が見られると、体へのコンプレックスや不安が強くなります。悪化すると、醜形恐怖症になったり、極度なダイエットによる摂食障害になったりする可能性もあります。
最近では、スマホで自撮りして加工してシェアする機会が増えています。しかし、そうした自分の外見をモノとして捉える傾向はメンタルヘルスによろしくないようです。
実際に、2005年にオーストラリアのアデレード大学が発表した研究によると、自己対象化の傾向があると体へのコンプレックスが強くなることが示されています。
- 被験者:18~35歳の153人(スクリーニング)
- 内容:自己対象化の傾向・運動の理由・体へのコンプレックスの関係性を調べた
方法
運動習慣・運動の理由・自己対象化の傾向・体への評価・自尊心を評価する質問票に任意で回答してもらった。
- 運動の理由:外見に関連する理由(体重管理や魅力のアップ)・健康やフィットネスの理由・楽しみや気分の改善の理由の3つで評価
- 自己対象化:身体的な魅力や美しい筋肉などをどれほど重要視するかを評価し、スコア化した
- 体への評価:自分自身の体に対する認識を問う質問で評価(例:私はもっと見た目が良くなりたい)
結果
- 女性と比べて、自己対象化の傾向は男性の方が低かった。女性と比べて体への評価は男性のほうが高かった。
- 男性において、自己対象化の傾向が強い人ほど体への評価と自尊心の度合いが低かった
- 女性において、自己対象化の傾向が強い人ほど体への評価の度合いは低かったが、自尊心には関連しなかった
自己対象化の傾向が、運動の理由や体への評価に与える影響を調べたところ、以下の通りになった。
- 自己対象化の傾向がある人ほど、外見に関連した運動理由を持ちやすい
- 男女ともに、外見に関連した運動の理由を持つ人ほど、体への評価が低い傾向が見られた。
- 女性において、健康や気分の改善のために運動している人は自己対象化の傾向が低かった。しかし、男性においてはその傾向はみられなかった
- 男性において、気分の改善のために運動している人ほど体への評価と自尊心が低い傾向が見られた
要約・考察
- 女性と比べて男性の方が体への評価は高かった。
- 自分をモノとして捉える傾向があると、体へのコンプレックスが強い。特に男性は自尊心も低くなる。
- 自分をモノとして捉える傾向があると、外見を改善するための運動をするようになるが、外見の改善のための運動をすると体へのコンプレックスが強まってしまう。
自分の外見に満足している度合いが男性の方が高いのはイメージ通りと言えます。実際に、女性は自分の外見にコストをかけるのに対し男性は無頓着な傾向があるからです。
しかし、男女関係なく自分自身をモノとして捉え、外見的な評価を上げようとする傾向はあるようです。そのような自己対象化の傾向があると、ネガティブな体へのイメージを植え付けられるリスクがあります。また、外見の美だけを追求する運動を行ってしまうと、むしろ体へのコンプレックスは強くなってしまうので注意が必要です。
外見のコンプレックスを軽減するためには、自分の体的な美しさを多少諦める必要がありそうです。
【実践】「外見の美」という呪いから開放されよう
ステップ1:メディアリテラシーを育てる
外見へのコンプレックスは、「美しさはこうあるべき」という理想のイメージと現実のギャップから生まれます。ですので、メディアが演出する「理想の美しさ」は美容グッズやダイエット用品を売るための戦略の一部であるぐらいに思っておくのが良いでしょう。
実際に、「メディアが発信する美しさは加工されている」と認識しておくことでメンタルヘルスに良いという研究もあります。

ステップ2:自分軸の運動理由を持つ
「周りからの外見的な評価を高めるために運動する」という心持ちで取り組むのはやめましょう。
代わりに、自分の軸をしっかりと持って運動やダイエットを実践してみるといいでしょう。例えば、運動や健康的な食事を実践することは日々を健やかに生きるためであり、痩せたり筋肉がついたり肌が綺麗になったりするのは副産物に過ぎないと考えるのです。
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