「モテるためには見た目がよくないと…」というのが一般的なイメージです。外見だけで恋愛が決まってしまうとしたらとても悔しいですよね。
しかし、実際には異性にモテる上では、匂いや声など外見以外の感覚情報もとても重要なのです。今回は男女別に恋愛やセックスにおいてどんな要素を重要視しているのかを解説します。
女性が恋愛で重視するのは見た目よりも「体臭」!?
女性からモテるためには見た目よりも体臭に気を使った方が良いかもしれません。1997年に発表されたブラウン大学のハーツ博士たちの研究によると、女性は恋人選びにおいて嗅覚を最も重要視することが示されています。

- 被験者:平均19.75歳の332人の男女
- 内容:恋人を選ぶ際に、味覚を除く五感の情報のうち、どの感覚情報を重要とするのかを男女ごとに調べた
方法
被験者には、恋人選びや性的活動中といった場面を想定して、視覚(外見など)・聴覚(声など)・触覚(肌の感覚など)・嗅覚(匂いなど)のどれを重要視するかを調べる18の質問に回答してもらった。
なお、具体的には以下のような質問を行い、「1:まったくそう思わない」から「7:非常にそう思う」の七段階で回答してもらった。
- 恋人選びについて:「相手の見た目は私にとって大きな違いを生む(視覚)」「相手の声は私にとって大きな違いを生む(聴覚)」「相手の臭いは私にとって大きな違いを生む(嗅覚)」など
- 性的活動中について:「目に見えるものによって興奮を感じることがある(視覚)」「体臭によって興奮を感じることがある(嗅覚)」「体臭以外の匂い(香水や環境の匂い)によって興奮を感じることがある(嗅覚)」「人間の性的な声によって興奮を感じることがある(喘ぎ声など)」「触覚や感触によって興奮を感じることがある(聴覚)」など
結果
- 男性は恋人を選ぶ場面では、見た目と匂いを同じくらい重視視していた
- 女性は恋人を選ぶ場面では、見た目・肌の感覚・声よりも匂いを最も重要視していた。
- 男性は性的な活動の場面では、視覚と触覚を同じぐらい重要視していた。なお、次に聴覚(喘ぎ声)、嗅覚(香水、体臭)と続いた。
- 女性は性的活動の場面では、触覚を最も重要視していた。次に視覚、聴覚(音楽、喘ぎ声)、嗅覚(体臭以外の香水や環境の匂い)が続いた。
要約・考察
実験の結果を要約すると以下のようになります。
- 男性は恋人を見た目や匂いで選ぶ
- 女性は恋人を特に匂いで選ぶ
- 男性は性行為の相手には、見た目→肌の感覚→喘ぎ声→香水や体臭の順番で重要視する
- 女性は性行為の相手には、肌の感覚→見た目→音楽や喘ぎ声→体臭以外の匂いの順番で重要視する
男女ともに恋人を選ぶときに匂いを重視するのは、生存戦略上の理由があります。匂いに注目することによって、相手と自分の「MHC」というタンパク質の遺伝子的な相性を確かめることができるからです。
MHCとは、「主要組織適合遺伝子複合体(Major Histocompatibility Complex)」のことです。免疫反応に関わるタンパク質で、細胞膜の表面に存在しウイルスや細菌などの異物から体を守る役割を持っています。人間のMHCは遺伝子によって決まっており、個人ごとにMHCの型にはバリエーションがあります。そして、人間のMHCは尿・汗・母乳などから体臭として放たれ、鼻の奥の器官で感じ取ります。
つまり、人間は相手の匂いから無意識にフェロモンのようなものを感じ、MHC遺伝子の相性を判断していると言えます。
恋人のMHCにこだわる理由は、MHCの相性がいい方が生まれてくる子どもの免疫機能が上がるからです。MHC遺伝子は体内に侵入してくるウイルス・細菌・寄生虫といった異物に反応するものですから、組み合わせの相性がいいMHC遺伝子を引き継いだ方が、子どもはより多くの病気への抵抗性を獲得できるというわけです。
逆に言えば一夜限りの関係においては、嗅覚の重要性は下がります。実際に研究でも男女ともに嗅覚の優先順位は下がっています。お互いの匂いを嗅ぐことによって遺伝子の相性を確かめ子どもの生存確率を高めるという目的があることを念頭に置けば、短期的な関係で匂いを重視しないのはつじつまが合います。
それにしても、女性が恋人を選ぶ際には見た目や声よりも匂いを重要視しているという点は重要です。男性は自分の匂いに鈍感ですが、もっと体の匂いに気をつけた方がよさそうです。
なお、恋人選びでなく性行為の相手を選ぶときにはやや事情が異なります。
男性が見た目を一番重要視しているのはイメージ通りでしょう。次に肌の感覚。これは女性の肌の柔らかさや挿入したときの感触といったものでしょう。
嗅覚の優先順位は恋人選びと比べて下がっていますが、性行為において体臭に気をつけなくてもいいというわけではありません。なぜなら、女性は好ましくない匂いによって大きく性的興奮を損なってしまうからです。また、体臭以外ではない匂いが女性の性的な興奮を引き起こしているのも注目ポイントです。体臭以外の匂いとは香水や、その場の環境の匂い(アロマなど)のことを指します。ですので、性行為の際には、最低限体臭や口臭に気を配った上で、香水やアロマで女性にアピールするのも戦略の一つでしょう。
それに対して、女性は性行為の相手に対して肌の感覚や見た目などを重要視しています。女性にとっての性的に興奮する感覚とは、男性の体を触ることというより、優しく触れられることなどを指しているように思えます。
【実践】匂いのケアを行ってモテ体臭になろう!
ステップ1:喫煙、ニンニクを控えて口臭ケアをしよう
臭いと感じられるのは体臭よりもタバコやニンニクなどによる口臭です。ニンニクは健康上のメリットも多いですが、口臭ケアに集中したいなら控えめにしたほうがいいでしょう。
ニンニクは不快臭の原因となるアリルメチルスルフィドがふくまれています。元となるのはニンニクに含まれるアリインです。アリインは無臭ですが調理などでニンニクの細胞が破壊された時にアリナーゼという酵素が活性化しアリシンに変換されます。そして体内でアリシンがアリルメチルスルフィドなどに代わり悪臭の原因になります(2)。口臭として半日は消えず40cmから50cm程度離れていても臭いと感じられるほどです。
ステップ2:加齢臭に気をつけよう
40代になると加齢臭にも注意が必要です。 40代になると「ノネナール」という体臭成分ができます。ノネナールとは不飽和アルデヒドの1種で、皮脂に含まれるパルミトレイン酸が過酸化皮質によって酸化されることで生成されます。女性よりも男性の加齢臭がきついのは、男性の皮脂分泌量が多いためです。
ノネナールは古い油・ろうそく・古本のような匂いがすると言われています。
改善するためには動物性タンパク質や脂肪が多く含まれている食品を控えるといった食生活の改善が必要です。なぜなら、動物性脂肪の多い食事は皮脂の過剰分泌につながるからです。例えば、牛・豚・鶏などの肉類や、バター・チーズ・揚げ物・ジャンクフードなどの摂取を減らしましょう。
また、皮脂の酸化を防ぐ抗酸化作用の高い食品を意識的に摂るといいです。例えば、ごま・アーモンド・ピーナッツ・かぼちゃ・アボカドなどです。
ステップ3:人工的な香りは戦略的に使おう
恋人として長期的な関係を築くなら、香水をつけて人工的ないい匂いにするよりも、本来の体臭に気をつけたほうがいいです。なぜなら、男女はお互いの体臭を嗅ぎ合うことによって、遺伝子の相性を確かめている側面があるからです。香水などで人工的な匂いをつけて相手を惹きつけたとしても、長期的に恋愛の満足度が高まるとは限りません。
ですので、相性がいい恋人を探す段階では偽物の匂いで惹きつけるよりも、自分本来の匂いを好きになってもらった方が合理的なのです。
ただ、男女ともに香水によって性的興奮が高まるのは確かです。相手との性行為の際には、香水やアロマで雰囲気を作るといいでしょう。
【関連知識】

↑MHCの遺伝子の相性がいいと、セックスの満足度が高まることについて解説しています。
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