完璧主義な人ほど取り憑かれやすい先延ばし癖を改善するには?

意思力

 

この知識を実践すると…
  • 完璧を求めてしまって仕事が溜まり、絶望的な気持ちにならなくて済む
  • 「このやり方は効率的ではないかも…」と立ち止まらずに、サクサクと仕事を進めることができる
  • 小さく行動することを実践して成功した企業の考え方をインストールできる

 

 

完璧主義の傾向がある人は先延ばししやすいかも

1994年のシカゴのデポール大学の研究によると、強迫性障害の人は決断の先延ばしをしやすいと示唆されています。

 

根拠となる研究
Procrastination tendencies among obsessive-compulsives and their relatives - PubMed
Participants diagnosed with obsessive-compulsive disorder (OCD; 39 women, 26 men; M age = 40) and their family relatives (11 women, 7 men; M age = 45) completed...
  • 被験者:強迫性障害と診断された被験者65人(平均年齢40歳)、その家族18人(平均年齢45歳)
  • 内容:被験者の強迫観念などと先延ばし傾向に関連性があるか調べた

被験者とその家族において、強迫行為・強迫観念・決断の先延ばし傾向・回避性先延ばしの傾向をそれぞれ計測した

結果

強迫性障害の被験者においては…

  • 強迫観念は決断を先延ばしと有意に関係していた
  • 強迫行動は決断の先延ばしと回避性の先延ばしに有意に関係していた
  • 被験者の家族と比べて、強迫性障害の被験者はより強迫観念や強迫行為が多く、優柔不断の傾向が高かったが、回避性の先延ばしが多いとは言えなかった
ロジ
ロジ

ここでは強迫性障害の人の先延ばし傾向について調べられています。強迫性障害と完璧主義者は少し違いますが、強迫性障害の人も、何ごともしっくりするまでやらないと落ち着かず完璧を求め過ぎてしまうという点で完璧主義と似通った点があります。

考察

つまり、完璧を求める人たちはそうではない人と比べて決断を先延ばしにする傾向が高いと言えるでしょう。ただし、「嫌な仕事から逃げたい」という気持ちではなく、仕事を始めるという決断をすることが普通の人よりも遅いと言えます。

理由としては、何でも完璧にやろうとする性質から、目の前の仕事を必要以上に大変な仕事だと見積もってしまうからでしょう。

また、完璧主義の傾向がある人は0か100かという二極思考で物事を考えてしまいがちです。先延ばしのケースで言うと、「3時間勉強をするか、それとも全く勉強をせずにだらけるか」という二極的な考え方をしてしまいます。もしくは、「今日は昼の勉強のノルマをこなせなかったから、夜の勉強もサボってしまおう」と自暴自棄になる心理にも取り憑かれやすいです。

 

面倒なときには他の仕事から済ませる「生産的先延ばし」

そこで完璧主義傾向のある人は「生産的な先延ばし」という考え方をしてみましょう。生産的先延ばしとは、本来行うべき面倒な課題の代わりに少し面倒な課題を終わらせることです。

例えば、試験勉強をしなければならない期間に限って、熱心に部屋の掃除をしたり本棚の片付けをしたりした経験がありませんか?

 

 

生産的先延ばしが起きる理由は、より強烈な面倒くさいことが現れると、他のタスクの面倒くささが薄まるからです。部屋の掃除や片付けも、本来ならば面倒くさいことであるはずなのに「試験勉強をする」というより大きな面倒くささと比べると楽に見えます。

完璧主義の人は生産的先延ばしをどんどん肯定していくべきです。本来の「試験勉強をする」という課題は当然こなしていませんが、「掃除をした」という何らかの結果は得られているわけです。なので、面倒な仕事が目の前にある時には「とりあえずほかの簡単な仕事からはじめてみよう」と考える癖を付けてみましょう。「とりあえず何でもいいので行動に移す」という考え方を繰り返すことで完璧主義のあまり先延ばしすることを改善できます。

 

「勉強したい」の誘惑に勝って行動を起こそう

完璧主義者による先延ばしを防ぐためには行動が大事です。「効率が良くないかも」といちいち考えてしまうことこそ効率が悪いと知っておく必要があります。

 

特に注意が必要なのは、「勉強をしてすべてを知ってからでないと行動したくない」という考え方です。例えば以下のようなケースが挙げられるでしょう。

  • ブログを書くときに「ブログの構成が未完成だからもっと情報を集めてから投稿したい」と考えてしまう
  • イラストを制作している時に「この描き方よりももっと正しいやり方があるのではないか」と考えてしまう
  • ビジネスをする時に「起業についてしっかり知識を集めてから始めた方がいいのではないか」と考えてしまう
  • アプリを制作する時に「このコードは不格好だからもっとスマートな書き方があるかもしれない」と考えてしまう

 

というのも、完ぺき主義の人は「自分はもしかしたら効率は良くないことをしているのかもしれない」という不安に取り憑かれてしまうからです。正解の方法を探してからスタートしたいという気持ちが捨てきれないために行動に移すのがどんどん遅れてしまいます。

 

そこで、「行動し始めるのはすべてを勉強してからにしたい」という誘惑を振り切り、アクションを起こしていくことが重要です。例えば、以下のように考え方を切り替えてみるといいでしょう。

  • 「何か思いついたら後で書き足せばいい」という気持ちでブログを形にしていく
  • 「やり方が多少間違っていても結果的にいいイラストが描ければいい」と考えて制作を続けていく
  • 「とりあえず低コストでできる方法でアイデアを形にしよう」と考えてスモールビジネスを展開していく
  • 効率が悪くて野暮ったいコードでも気にせずに、「アプリが意図した通りに動けばOK」という気持ちでアプリを作っていく

 

このようにアクションを起こすことによって見えてくることもあります。

実際に、筆者がブログを書く時にも「とりあえず下書きを書くつもりで完成させてみよう」という考え方をするようにしています。すると、最初は「情報が集まりきっていない」と考えていたネタでも、書いてみると思わぬ発想が湧いてきてしっかりとした記事になったということが起きるようになりました。

なので、考えがまとまりきっていなくても行動を始めてみるということが大切なのです。

 

成功している企業は小さく始めている

ビジネスの分野でも完璧主義の罠に陥らず、小さな行動を起こしていくことが重要だと言われています。実際に、成功している企業は事業を小さく始めています。

 

例えば、「ProjectionHub」という企業があります。

Financial Projection Templates | Industry Specific Financial Projection Templates - ProjectionHub
Financial projection templates & custom services for 100+ Industries. ProjectionHub makes it easy for business owners, startups, and consultants to create full ...

ProjectionHubは投資家や金融から資金を調達するために財務予測表作成をサポートするエクセルテンプレートを販売している会社です。ProjectionHubのすごいところは、買い切り型のサービスとして財務予測表のテンプレートを売ったことです。しかし、当初は10万ドル以上を投資し、財務予測表を出力できるウェブアプリを作っていました。というのも、自分たちのサービスとして独自のウェブサイトを構え、継続的に利益を上げていこうと画策したからです。

ただ、財務予測表を作るウェブアプリは継続的に利益を上げるサブスクリプションモデルとは相性が悪く失敗に終わりました。なぜなら、ユーザーは必要な時に財務予測表を利用する必要があっただけで、ウェブサイトに登録して継続的に課金する必要がなかったからです。

そこで、Excelという既存の事業を活用しながら、「財務予測表のExcelテンプレートを売る」というサービスに舵を切り、成功を収めました。テンプレートを作るだけなら、ゼロからアプリやウェブサイトを立ち上げる必要はなかったのです。

 

つまり、起業の際にも「すべてを自分たちで作らなければならない」と考える必要はないのです。もっと言うと、あらゆることにおいても今できる行動を起こしていくことが重要になるでしょう。

 

【本日の行い】先延ばししたい心理を戦略的に活用しよう

ステップ1:優先タスクを設定しよう

例:

  • 仕事に役立ちそうな資格を取得のための勉強をする
  • 英会話を身に着けるために英語の勉強をする

 

ステップ2:優先タスクよりも手軽で楽しいタスクを設定しよう

例:

  • モチベーションが上がるビジネス書を読む
  • 英語音声で洋語を鑑賞する

 

ステップ3:優先タスクに取りかかるのが面倒になったら楽しいタスクから始める

あくまでも優先タスクを毎日こなしていくのが目標です。しかし、取りかかるのが面倒なときには先延ばししちゃって、楽しいタスクをやりましょう。

例:いつもなら…

「資格のための勉強が面倒くさいな…」→ネットサーフィンやゲームを始める

例:生産的先延ばしの考え方で…

「資格のための勉強が面倒くさいな…」→興味のある分野の本を読む

こうすると、結局先延ばしはしてしまいますがゲームやネットサーフィンをするよりかは生産的に時間を使うことができます。読書とゲームならゲームの方を取ってしまうところを、読書よりもさらに面倒な「資格の勉強」というタスクとあることによって、「資格の勉強をするよりかは読書の方が楽しいな」と考えられるようになるのがポイントです。

 

【獲得経験値】

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